冬季、部屋を優しく暖めてくれるオイルヒーターが静かな人気を集めています。
と言うのも、冬の季節、価格.comの「ヒーター、ストーブ」人気売れ筋ランキングの20位以内にデロンギ・オイルヒーター(De’Longhi Heater)がランキングしていることから、その人気の度合いが窺えます。
オイルヒーターは欧州で使われているイメージがあるかもしれません。ところが、日本でも上手にオイルヒーターを使うことで、快適で暖かい冬を過ごすことができます。
それでは、クリーンで安全な暖房器具であるオイルヒーターの特徴とメリット、デメリットを解説します。そして、どのような住宅にマッチするのかも解説。
更に、オイルヒーターを使いながら、月々の電気代を安くする節電方法についてご紹介します。
オイルヒーターの特徴
オイルヒーターの構造は比較的シンプル。
オイルヒーターの金属製本体に難燃性オイルが充填されています。オイルヒーター内に電気を流すことで内部オイルが加熱され、オイルが本体パイプ内を循環することで発熱して部屋を暖める仕組み。
オイルヒーター内部のオイル交換は不要で、エアコンや石油ファンヒーターのフィルターのようなメンテナンス部品がありません。
世界中で愛されているイタリアのブランド、デロンギ・オイルヒーター(De’Longhi Heater)は日本でも知られたブランド。
用途に応じて、マルチダイナミックヒーター、コンベクターヒーターなどのラインアップが充実しています。
オイルヒーターのメリット&デメリット
メリット
空気を汚さないため換気不要
オイルヒーターは部屋の空気を汚さないため、換気不要。また、灯油系暖房器具のような点火、消化時に発生する臭いが出ません。
オイルヒーターは気管支やのどが弱い方にも優しい暖房器具と言えます。
本体温度が70℃前後で安全性が高い
オイルヒーターの表面温度は70℃前後。赤ちゃんや子供、可愛いペットが誤って本体を一瞬触っても、大やけどを負う危険性が低い特徴があります。
そして、地震発生時、本体の安全装置が作動し、電源が自動的にOffになります。本体が倒れても、火災発生のリスクが低い暖房器具です。
運転音が静か
オイルヒーターは運転音がとても静かなため、寝室などにもピッタリな暖房器具です。
空気が乾燥しにくい
エアコンで暖房すると、どうしても室内の空気が乾燥します。その点、オイルヒーター本体が発熱して周囲を暖めるため、空気が乾燥しにくい特徴があります。
燃料補充やフィルター掃除等の手間が不要
オイルヒーターは石油系暖房器具のような燃料の補充、エアコンのフィルター掃除のようなメンテナンスが不要です。
移動が簡単
オイルヒーターにはキャスターが装着されているため、本体の移動が簡単。
よって、オイルヒーターは部分的に暖めたい脱衣室やトイレにも適しています。また、オイルヒーターはエアコン暖房や石油ファンヒーターの補助的な暖房器具としても便利です。
故障が少ない
オイルヒーターの構造はシンプル。オイルヒーターはエアコンや石油ファンヒーターに比べて部品点数が少なく、故障が少ないのも特徴です。
デメリット
部屋が暖まるまで時間がかかる
オイルヒーターは石油ファンヒーターのように、一気に部屋を暖める速暖性はありません。オイルヒーターは30分~1時間ほどかけて優しく、じわじわと部屋を暖めていくタイプの暖房器具です。
消費電力が高い
小型オイルヒーターの消費電力は500W前後。電気代は1時間あたり約13.5円。
10畳用のオイルヒーターの消費電力は1,500W前後。電気代は1時間あたり約40.5円。
もちろん、オイルヒーターには、消費電力と温度を調節できるスイッチが付いています。
多くの場合、1,500Wで1日8時間の運転で「40.5円/H×8H = 324円」という計算にはなりません。実際は、それより電気料金が安いイメージ。
暖房器具は運転スタート時が最も電気や燃料を消費します。そして、部屋が暖まってくると、消費電力や燃料消費がグッと少なくなります。
広い部屋には不向き
広い部屋を暖めるには、1,500Wクラスのオイルヒーターが必要です。
暖房効率を考えると、オイルヒーターは8畳以下の部屋に向いています。あるいは、エアコン暖房や石油ファンヒーターをメインで使用し、人がいる場所やバスルームの脱衣室でスポット的にオイルヒーターを使うのがコツ。
気密性と断熱性が低い建築物には不向き
オイルヒーターは築30年以上の古い木造住宅で各部に隙間が多く、断熱性が低い住宅にはあまり向いていません。建物に隙間が多くて断熱性が低いと、部屋が暖まりにくく、オイルヒーターの消費電力が高い状態が続きます。
どちらかと言うと、オイルヒーターは以下の建築物に向いています。
・RC造(鉄筋コンクリート造)
・SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
・木造や鉄骨の集合住宅
・木造の築浅物件
・鉄骨造の築浅物件
処分時、自治体に要確認
オイルヒーターは自治体によっては、粗大ゴミとして処分できません。
デロンギは「デロンギ再資源化システム」による回収サービスを用意しています。送料は自己負担でオイルヒーターを処分できます。
あるいは、まだ使用可能なオイルヒーターならば、リサイクル業者に打診してみる方法もあります。
オイルヒーターの節電方法
暖房器具はそれぞれメリットとデメリットがあります。
建築物の構造の違いやライフスタイル、家族構成、好みにマッチする暖房器具を選ぶことで、冬を暖かく快適に過ごすことができます。もちろん、ランニングコストも気になる要素。
メインはエアコン暖房や石油ファンヒーター
改めて、オイルヒーターのメリットを挙げてみますと、空気が汚れない、臭いが出ない、安全性が高い、静か、空気が乾燥しにくい、メンテナンス不要、移動が簡単、故障が少ないという十分な性能を持っています。
暖房効率と電気代を総合的に考えますと、メインの暖房はエアコンや石油ファンヒーターを使用し、人や子供、ペットがいる場所で補助的にオイルヒーターを使うのも1つの方法です。
脱衣室の暖房に
建物によっては、脱衣室とバスルームまで暖房が行き届かず、冬季の寒さが辛い場所。
寒い脱衣室で衣服を脱ぐと、血圧の急変動によるヒートショック現象が懸念されます。特に、高齢の方は要注意です。
しかも、概して脱衣室は狭い空間。狭い空間で、場所を取る暖房器具や燃料を燃やす暖房器具はあまりマッチしません。
その点、場所を取らず、移動がラクで安全性が高いオイルヒーターは脱衣室にマッチする暖房器具の1つ。
いずれにしても、オイルヒーターは設定温度に達するまで1,000~1,500Wの電力を消費します。これは、言わばドライヤーが動き続けるような状態。
そこで、オイルヒーターの気になる電気代を節約して、節電に繋がる方法をご紹介します。
窓ガラスの断熱性を上げる
人が生活や仕事をする建物には、必ず窓ガラスが設置されています。
窓ガラスは「採光、通風、眺望」の3つの大切な機能があります。建築基準法により、建物に対して一定以上の面積を持つ窓ガラスの設置が義務付けられています。
人が生活する以上、窓ガラスは無くてはならない存在。しかし、建物の断熱性能を落としてしまう大きな原因は窓ガラス。これが建物の矛盾点なのです。
オイルヒーターで部屋を暖めているのに、外の冷気が窓を冷やし、室内を冷やしてしまいます。あたかも、以下の絵図のようなイメージです。
急須(きゅうす)= オイルヒーター
茶碗 = 部屋
茶碗のひび割れ = 窓ガラス
オイルヒーターで部屋を暖めているのに、茶碗のひび割れ(窓ガラス)から熱が外へ逃げてしまっているのです。
そこで対策として、このような断熱性能を落としてしまう窓にガラスフィルムを施工すると、断熱性能を上げることが可能です。具体的には、窓に遮熱断熱ガラスフィルムを施工します。
遮熱断熱ガラスフィルムの施工
先ほどの急須と茶碗の絵図のように、オイルヒーターで室内を暖めても、茶碗がひび割れているため熱がどんどん逃げてしまっています。
対策として、ひび割れを少しでも塞ぐことで、熱の流出を食い止めるのです。
具体的には、窓ガラスに遮熱断熱ガラスフィルムを施工します。遮熱断熱フィルムの中には、「熱貫流率」という値が「4.3W/m2・K」のフィルムがあります。
3mm厚の透明フロートガラス(普通の窓ガラス)の熱貫流率は「6.0W/m2・K」。計算しますと、
6.0×4.3×1/6=4.3
窓ガラスに遮熱断熱ガラスフィルムを施工すると、熱貫流率が「4.3」となり、ガラスの断熱性能を約「30%」高めることができます。この値は「ペアガラス+アルミサッシ」の窓の性能に相当します。
詳細は関連記事をご参照ください。
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