日本の一戸建て住宅や分譲マンション、賃貸物件には共通点があります。
それは、畳の和室が年々、減少しています。そして、反比例するかたちでフローリングの洋室が増えてきました。
これは、何故でしょう?
では、日本ならではの和室のメリットとデメリットを検証してみます。
更に、畳の日焼けを抑制する対策もご紹介します。
畳の和室のメリット、デメリット
メリット
日本の気候風土に最適
畳が敷かれた和室は湿度が高くなる梅雨から夏にかけて、室内の湿気を吸収してくれます。そして、天気のいい日は通風により畳が湿気を放出します。
そして、冬季、畳が持つ断熱効果が床下の冷気を和らげてくれます。
多目的な空間
和室のメリットとして、多目的な用途で使うことができるところ。これは、洋室には真似ができません。
和室は食事の空間、くつろぐ空間、客間、子供の遊び場、寝室と多目的に使うことができます。和室ならば布団を敷くことが容易であり、狭い室内空間を有効活用できるメリットがあります。
実は、和室は狭いマンションや一戸建て住宅にマッチする部屋。
洋室の場合、
・リビングにソファーとテーブル
・キッチンにダイニングテーブルとダイニングチェア
・寝室にベッド
などの大型家具を置くため、住人が有効利用できる室内空間が狭くなってしまう難点があります。
押入れの設置が可能
和室に押入れの設置は昔からの組み合わせ。押入れは上下段で仕切られているため、その収納スペースは目を見張るものがあります。
畳の弾力性
畳には弾力性があるため、その上で人が座り、横になるのが容易。子供が畳の上で転倒しても、ケガをしにくいメリットがあります。
畳の遮音性
55~60mm厚の畳がクッション材として機能し、遮音性が高まります。
畳の断熱性
55~60mm厚の畳そのものに断熱効果があるため、冬季、床下の冷気を和らげてくれます。
合板フローリングの表面は冷たさを感じるものの、畳の表面は冬季でも合板フローリングほどの冷たさを感じません。
畳と障子紙の調湿効果
畳と障子紙が室内の湿気を適度に吸収してくれます。そして、通風により、畳と障子紙が湿気を放出します。
い草のリラックス効果
い草はバニリンという香気成分を含み、リラックス効果があります。
畳の交換が容易
6畳や10畳程度の部屋ならば、1日以内で畳を交換できます。
デメリット
掃除が少々、手間
合板フローリングの床がそれほど汚れていなければ、クイックルワイパーなどで簡単に掃除ができます。しかし、畳の場合、網目に入り込んだ汚れを掃除機で吸引する必要があります。
畳のメンテナンスが必要
畳は徐々に劣化していくため、定期的な表替え、裏返しが必要です。
障子のメンテナンスが必要
障子紙は半永久的なものではなく、劣化具合によっては交換が必要です。また、障子紙に物がぶつかると簡単に破れてしまうため、その度に障子紙の交換が必要です。
日焼けによる畳の退色
畳は太陽の紫外線の影響を受けやすいため、障子やカーテン、ガラスフィルムなどの紫外線対策に気を使う必要があります。
畳に家具の跡やキズが付きやすい
畳は「い草」という天然素材で作られている以上、畳の上に家具を長期間、置くと凹み跡が付きやすく、畳に鋭利な物が接触するとキズが付きやすいのが難点です。
コスト高
和室を作るには、畳、襖(ふすま)、障子を設置し、天井には天井板を設置します。和室は合板フローリングにクロス貼りの洋室と比べて、どうしてもコストが高くなります。
年齢層によっては古臭い印象
年齢層によっては、畳の和室は古臭く感じるようです。
畳の和室で生活したことがない若年層もいることでしょう。和室での生活経験が無い若年層は、和室に対して前時代的な印象を抱くかもしれません。
家づくりやマンション購入を検討している子育て世代にとって、コスト高となる和室は魅力的ではないかもしれません。ハウスメーカーや工務店の営業マンは、お客さんから特に要望が無い限り、積極的に和室をすすめないのが時代の流れ。
以上、当ブログの管理人が思いつく畳の和室のメリットとデメリットを書き出してみました。
畳の和室が減少傾向にある理由
コスト高
畳の和室はフローリングの洋室に比べて、どうしてもコスト高になります。
ライフスタイルの変化
62年間続いた昭和の時代から平成、令和にかけて、私たち日本人のライフスタイルが変化してきました。
リビングにソファーとテーブル、キッチンにダイニングテーブルと椅子、寝室にベッドを置くライフスタイルが増え、自ずと室内空間における和室の比重が低下してきました。
フローリングは手入れがラク
床がフローリングならば、飲み物や食べ物を落としてしまった場合に手入れがラク。その点、畳の手入れは少々やっかいと言えます。
以上のように当ブログの管理人が思いつくだけでも、畳の和室が減少傾向にあるのはいくつか理由があると考えられます。
しかし、畳は日本の伝統文化であり、前述のように複数のメリットをもたらしてくれます。
見直したい和室
昭和の時代、日本の家屋にとって「和室」はごく普通の当たり前の生活空間でした。畳の和室で食卓を囲み、一家が集まってテレビ鑑賞し、布団を敷く就寝の場でもあったのです。
平成の時代に入り、畳の上の生活から徐々にライフスタイルが西洋化し、机と椅子、ソファーとテーブル、ベッドの生活へと変わっていきました。
現在、もはやマンションや新築一戸建て住宅にとって、畳の和室は少数派。時代の流れとして、畳の和室が減少傾向にあり、反比例するかたちでフローリングの洋室が増加傾向。
改めて畳の和室のメリットを考え直しますと、和室ならではの優れた特徴があることに気付かされます。
多目的な空間
やはり、和室の最大の特徴は「多目的な空間」であること。これは、フローリングの洋室では有り得ません。
昭和と令和の時代を比較すると、日本人の居住空間はさして広くなった訳ではありません。
多目的空間の和室が減少してフローリングの洋室が主流となると、得てして各部屋に大型の家具を置くようになります。
洋室の場合、リビングにソファーとテーブル、キッチンにダイニングテーブルとダイニングチェア、寝室にベッドなどの大型家具を置くため、人が有効利用できる居住空間が狭くなってしまう難点があります。
リビングに4人掛けのソファーが置いてあるならば、来客数が多いと椅子が足りず、他の部屋から椅子を運ぶ必要があります。それでも足りない場合もあるでしょう。
その点、6畳の和室ならば、テーブルの左右に座布団を8枚敷き、狭いながら8人が座ることができます。和室ならば、不意の来客があっても対応できるメリットがあります。
まとめ
和室の最大の特徴は「多目的な空間」であること。
マンションや一戸建て住宅、賃貸物件を問わず、狭い室内空間を有効活用するための解決策は、実は「和室」だったのです。
畳の和室ならば、食事、家族との団らん、ネット検索とYouTube視聴、TV&映画鑑賞、就寝、そして、不意の来客まで全てに対応できます。
これらの各シーンの間に必ず準備と片付けが必要です。
畳の上にちゃぶ台を置き、食事の準備と片付け、団らん後の布団敷きという具合に、シーンによって和室空間の用途が変化していきます。
日本には、古来より片付けの文化が根付いているのは、長年の和室文化が大きく影響しているのかもしれません。改めて「狭いながらも楽しい我が家」を支えてきた畳の和室を見直してみたいものです。
畳の日焼け予防、退色の予防対策
畳が太陽の紫外線を浴び続けると、どうしても日焼けし、色あせてしまいます。畳の紫外線対策として、日頃、障子やカーテンを閉めることが多いのではないでしょうか?
しかし、障子やレースカーテンでは十分に紫外線をカットできません。また、障子を閉めると眺望がゼロになり、カーテンを閉めると外が見えにくくなってしまいます。
そこで、紫外線対策として、窓ガラスにUVカットフィルムを施工する方法が最も効果的であると考えられています。
UVカットフィルムが紫外線を99%以上カット
プロ業者用の全てのガラスフィルムは紫外線/UV(UVA, UVB)を99%以上、カットできます。これにより、嬉しいメリットが複数あります。
・畳の日焼け、色あせの抑制。
・家具、調度品、絵画などの日焼け、色あせ、劣化の抑制。
・肌の日焼け防止。
・肌のシミ、シワ、たるみの予防。
・眺望はほとんど変わらない。
更に、機能性が高いフィルムで次のような対策ができます。
・遮熱
・遮熱断熱
・目隠し
複数の機能を持つガラスフィルムで、より快適な室内空間を整えることができます。詳細は関連記事をご参照ください。
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