日本国内の一戸建て住宅は2階建ての割合が多く、平屋住宅は全体の約12.8%。
予算を含めて総合的に家づくりを考えると、2階建て住宅を選ぶ人が多くなります。
しかし、条件が揃えば、平屋の家ならではの特徴とメリットがあります。敷地面積に余裕があるならば、平屋ならではのメリットを大きく引き出すことができます。
平屋のバリエーションは幅広く、ローコスト住宅メーカーの平屋から工務店が建てる日本の伝統的な古民家風の平屋、ハウスメーカーが建てる平屋、アメリカ西海岸のカリフォルニアを彷彿とさせるアメリカンハウスまで様々。
2012年あたりから、日本国内の新築住宅に占める平屋住宅が増加傾向にあります。2012年と2022年を比較すると、2012年の平屋率は全体の約6.8%で2022年の平屋率は約13.5%。
10年間で平屋率が約2倍に増加し、平屋ブームとも言われています。
(出典)ARUHIマガジン
では、平屋のメリットとデメリット、平屋にマッチする住人像、そして、平屋ならではの配慮したいプライバシー保護と防犯対策について解説します。
平屋のメリットとデメリット
平屋の家は都市部よりは、郊外や田舎に建てる家というイメージがあるかもしれません。
土地が広ければ、それを有効活用して家を水平方向に建てる平屋のメリットが引き立ちます。
ちなみに、平屋の家は英語で”One story house”(ワンストーリーハウス)。直訳すると、「1つの物語がある家」。なんとも、カッコいい表現ですね。
メリット
動線がスムーズ
平屋は人と物の動きが水平方向のため、動線がスムーズになります。重い物や洗濯物を2階へ運ぶような動線がありません。
親と同居するならば、親の将来、そして、自分の老後を考えると、平屋は人に優しい建物です。
家族とのコミュニケーションが取りやすい
平屋の家の空間は水平方向に広がるため、2階建てのように空間が1階と2階で分断されることがありません。
階段不要で空間を有効活用できる
2階建ての場合、階段部分の面積が1.5畳以上は取られます。1畳を1.62m2で計算すると、1.5畳で2.43m2。平屋の家は2.43m2分以上の面積を有効活用できます。
台風や地震に強い
平屋の家は二階建てより重心が低い以上、自ずと強風や地震に強くなります。
高齢になっても生活しやすい
平屋の家をバリアフリー設計にすれば、住人が高齢により車椅子を使うようになっても、そのまま生活できます。
子育て世代にとって、自分たちの老後なんて想像できないものの、人は確実に年を取ります。遠い将来、足腰が衰えてきた自分たちにとって、平屋は住人に優しい住宅と言えます。
工法は木造でコスパがいい
平屋の家でしたら、木造を選ぶケースがほどんど。鉄骨よりコスパの面で優位に立ちます。
メンテナンスが容易で費用も安い
平屋の定期的な外壁塗装工事の際、足場の費用は2階建ての半分程度で済みます。
デメリット
広い土地が必要
延べ床面積が30坪の平屋を建てる場合、土地の建ぺい率が60%であれば、50坪の土地が必要。同じ条件で40坪の平屋を建てる場合、67坪以上が必要です。
家の中心部の採光問題
平屋という構造上、間取りと窓の位置を十分に考慮して設計しないと、家の中心部の空間が暗くなってしまいます。
プライバシーの確保対策
平屋の家は家族同士の距離感が近く、間取りによっては、完全なプライベート空間を作るのが難しくなります。
防犯対策を推奨
寝室も含めて全ての部屋が1Fにあるため、窓の防犯対策を意識する必要があります。
坪単価が高くなる
平屋と総2階建ての家の価格を比較すると、工法、住宅設備、延べ床面積も同じならば、平屋の方が坪単価が高くなります。
この理由として、延べ床面積が30坪の家を例に挙げてみます。
平屋
基礎の面積:30坪
屋根の面積:30坪+α
基礎と屋根の面積はそれぞれ30坪。断熱材も、それぞれ30坪分必要です。
総2階建て
基礎の面積:15坪
屋根の面積:15坪+α
基礎と屋根の面積はそれぞれ15坪。基礎のコンクリートと鉄筋、そして、屋根の断熱材の使用量は平屋の半分で済みます。
家の建築費用の中で、基礎と屋根の工事費が占める割合が大きく、平屋の家はどうしても坪単価が高くなります。
平屋の家にマッチする住人像
平屋にマッチする住人像として、以下が挙げられます。
・比較的、広い土地を確保できる方。
・坪単価よりスムーズな動線を優先させる方。
・軒を出した和風建築を好む方。
・アメリカ西海岸のカリフォルニアを彷彿とさせるアメリカンハウスを好む方。
・夫婦が高齢になった時の将来を見据えている方。
・地面の上で暮らす安心感を求める方。
・目前に庭が広がる空間を大切にする方。
まとめ
平屋の家がいいのか、総2階建て住宅がいいのかは住人の好みの問題。これらに優劣を付けることはできません。
平屋の家は坪単価が高くなるものの、それを補って余りある価値を見出す方にマッチする工法です。
軒の無い総2階建ての家を見かけることが多い昨今、大和比の美しさを取り入れた古民家風の平屋に憧れる方が少なくないようです。
切妻の屋根に軒を出したデザインは和の雰囲気と機能性を兼ね備えています。
軒の深い平屋造りの家は、夏の照り付ける暑い日射熱から人と室内空間を守ってくれます。
トレンドを追いかけるのではなく、古来より引き継がれてきた日本の伝統的な平屋は、2階建てでは味わえない和の雰囲気が漂っています。
そして、アメリカンカルチャーが好きな方にとって、北米スタイルのアメリカンハウスが気になる存在ではないでしょうか。
ここで、平屋の家で生活する上で配慮したいポイントは、プライバシー保護と防犯対策。
平屋は寝室を含めて、全ての部屋が1Fに位置します。よって、建物の構造上、プライバシー保護と防犯対策を意識したいものです。
平屋のプライバシー保護、防犯対策
平屋で生活していて気になるポイントは、プライバシー保護と防犯対策。寝室が1Fに位置する以上、外からの視線と防犯対策の両方が気になります。
目隠し対策として、窓にカーテンを設置するのが一般的。しかし、レースカーテンは眺望が悪化し、外の様子が分かりにくくなる問題もあります。
そこで、外から室内が見えにくく、室内から外がはっきり見える方法として、窓ガラスにガラスフィルムを貼る方法があります。
窓ガラスフィルムでプライバシー保護、防犯対策
プライバシー保護対策
リビングや寝室のプライバシー保護対策として、窓ガラスに「遮熱断熱フィルム」を貼る方法があります。
窓ガラスに熱貫流率(U値)「4.3W/m2・K」の遮熱断熱フィルムを貼ると、窓の断熱性能が約「30%」アップします。
遮熱断熱フィルムは夏の「遮熱」と冬の「断熱」の両方に対応し、夏はより涼しく、冬はより暖かい室内空間を整えることができます。
同時に、外から室内が見えにくく、室内から外がはっきり見えます。
遮熱断熱フィルムは眺望をしっかり確保しながら、夏の暑さと冬の寒さを和らげてくれます。詳細は関連記事をご参照ください。
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防犯対策
空き巣の侵入手段の約「70%」はガラス破り。空き巣犯は窓のガラスを破るなどして室内に侵入し、犯行に及んでいます。
窓がペアガラスであっても、普通のフロートガラスであれば、空き巣犯に割られてしまうリスクがあります。
そこで、窓ガラスの防犯対策として、最も効果的な対策は「防犯フィルム」の施工です。
普通の窓ガラスフィルムより厚みのある防犯フィルムを窓の内側(室内側)に施工します。
厚い防犯フィルムが空き巣犯の侵入を拒み、言わば防波堤のような役割を果たします。
防犯フィルムにより窓ガラスが割れないのではなく、外からガラスが割られても、フィルムがガラス全体に固着して外部からの侵入を困難にするのが目的です。
空き巣犯にしてみたら、手間と時間のかかる侵入を嫌います。
空き巣犯は、物音と周囲の通行人や隣家の視線を極度に恐れています。侵入に手間のかかる防犯フィルムを前にして、空き巣犯は犯行を諦める確率が高まるのです。
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