テレビCMの「あったかハイム」で知られる「セキスイハイム」。
セキスイハイムは会社名ではなく、家のブランド名。セキスイハイムの会社名はセキスイ化学工業株式会社。
「セキスイハイム」と「積水ハウス」を混同してしまうかもしれませんけど、これらの2社に関係性はありません。積水ハウスは大阪市に本社を置く住宅メーカーであり、会社名は積水ハウス株式会社。
セキスイハイムの着工棟数は年間、約10,000棟で業界シェア3位。
セキスイハイムのS造(鉄骨造)はボックスラーメン構造と呼ばれる、鉄骨を溶接したユニットで構成されている家。これは、住宅業界の中で極めて特殊な構造。
あと、ラインアップに2×6の木造もあります。
セキスイハイムの家は工場で各ユニットを約80%完成させ、現場で積み木のように組み上げる工法。施工品質はビルダー業界でNo.1と言われています。
この工法もいくつかのメリットとデメリットを併せ持ちます。
では、セキスイハイムの住人である管理人がハイムの真実を公開しましょう。更に、効果的な夏の暑さ対策と冬の寒さ対策について、ご紹介します。
住人が語るセキスイハイムとは?
管理人が住んでいる家は、1990年代に新築したセキスイハイム。
十年一昔と言われるように、10年経過を一昔と考えますと、管理人が住むセキスイハイムは二昔以上経過しています。
今となっては、家を総合的に評価するのに十分な築年数が経過しています。セキスイハイムの新築や建売住宅、中古物件を検討している方にとって、当ブログが参考になれば幸いです。
では、セキスイハイムの住人である管理人が独断と偏見でハイムを解説していきます。
セキスイハイムの特徴
セキスイハイムの特徴は大きく3つ。
・工場でユニットを生産
・現場で組み立て
・工期が業界最短
一戸建て住宅からマンション、商業ビルまで、この世の建築物は建築資材が現場に運ばれ、人が現場に集まり、幾多のプロセスを経て完成日を迎えます。
建築業界は、青空駐車ならぬ青空建設が常識。
セキスイハイムは青空の下ではなく、工場の屋根の下で各ユニットが生産されています。工場で物を作る方が青空の下より、明らかに高い品質を維持できます。
屋外で作業する職人の方々は、外気温や湿度、風雨、雪の影響を受けながら仕事をする以上、どうしても肉体が外的な影響を受けます。
夏季、真夏日を超えて猛暑日ともなると、誰もが疲労が重なるにつれて朦朧(もうろう)としてきます。そして、冬季、手がかじかんで思うように動いてくれません。
よって、施工精度に誤差が生じる可能性を否定できません。
その点、工場という屋内で物を作るセキスイハイムの品質は極めて高いのです。これに異論をはさむ人は1人もいません。
工場で完成した各ユニットはトラックで建設現場に運ばれ、大型クレーン車がユニットを積み上げていきます。
まさに積み木を「ポンポン」と組み上げていくような工法でテンポ良く施工が進みます。
ユニットがあたかも舞い上がるようなスピードで上昇し、所定の位置に降りてきます。誰もが、クレーンオペレーターの操作は神業に見えるはず。
現場での組み立ては1日で完了します。
セキスイハイムはユニット工法であるため工期が短く、業界最短の工期を実現しています。
セキスイハイムの評価
これは、セキスイハイムの住人である管理人の独断と偏見の評価です。
耐震性 | ★★★★★ |
耐風性 | ★★★★★ |
メンテナンス | ★★★★★ |
耐久性 | ★★★★★ |
気密性、断熱性 | ★★★☆☆ |
間取り | ★★☆☆☆ |
デザイン | ★★★☆☆ |
アフターサービス | ★★★★★ |
コスパ | ★★★☆☆ |
セキスイハイムの工法は極めて特殊と言えます。特殊である以上、複数のメリットがあり、その反面、デメリットもあります。
では、管理人がセキスイハイムのメリットとデメリットを解説していきます。
セキスイハイムのメリット&デメリット
メリット
地震、台風に強い
サイズが100mm×100mmの軽量鉄骨で作られているセキスイハイムのユニットは、工場で2万アンペアもの大電流で溶接されています。
各ユニットが極太ボルトで締結されている以上、管理人はセキスイハイムの躯体(くたい)の剛性は非常に高い印象を受けています。
今まで、地震や巨大台風の上陸で家の2Fが微妙に揺れることはあったものの、天災により建物が被害を受けたことは1度もありません。
品質が高い
先述のように、セキスイハイムの工場では、各ユニット(梁と柱)がコンピュータ制御のロボットで溶接されます。ハイムの工場は、あたかも自動車の生産工場を彷彿とさせます。
その後、ユニットに床と壁、天井を取り付け、キッチンやユニットバス、電気配線、コンセントまで組み込まれます。
完成したユニットはトラックで現場に運ばれ、ボルトで締結されます。
工場で家の約80%が完成し、現場で組み立てるため、人的な作業ミスが発生しにくく、極めて高い品質を確保できます。
例えるならば、工場で1/1スケールの機動戦士ガンダムの頭、胴体、腕、足を作り、それらをトラックに積載し、現場でポンポンと組み立てるようなものなのです。
巨大空間を作ることが可能
管理人が住むセキスイハイムを建てた当時、どうしても20畳前後の広い空間が必要でした。セキスイハイムならば問題無く可能であったため、ハイムを選んだ理由の1つでした。
今のセキスイハイムは、最大32畳の空間を実現できます。32畳といったら、お寺の空間。そして、柱と柱のスパンは5.4m。大型輸入外車の全長に匹敵する幅広い間口を確保できます。
鉄骨ユニットは錆びない
管理人が住むセキスイハイムのユニットは担当者からの話によると、約100年ほどの耐久年数があると聞いています。現存するセキスイハイムのユニットのサビの心配は不要と考えていいと思います。
今日のセキスイハイムのユニットはZAM塗装と呼ばれる塗装が施され、耐久年数は推定、約140年とされています。
業界最短の工期
工場で完成した各ユニットはトラックで現場に運ばれ、大型クレーン車でユニットを1つ1つ持ちあげて組み立てられます。
セキスイハイムで家を建てる場合、基礎工事が始まってから、最短2~3ヶ月で完成します。
家の工期が短いということは、お施主様の家賃負担を軽減できるメリットがあります。
耐久性が高い
家の耐久性は実際、人が住んでみなければ分からない性能。各ハウスメーカーや工務店のWebサイトとカタログを隅から隅まで読んだところで、家の耐久性は未知数なのです。
セキスイハイムの住人である管理人が抱いている印象として、セキスイハイムの耐久性は高いと言えます。
もちろん、家のメンテナンスとして、定期的な外壁塗装とシロアリ対策が必要。それ以外の建物のメンテナンスにほとんど費用がかかりません。
家の骨格であるユニットが強固な鉄であるため、柱の歪みによるサッシや戸の隙間の発生などの問題は一切ありません。ユニットの耐久性は100年程度はあるようなので、躯体の耐久性の心配は無用。
セキスイハイムを自動車に例えるばらば、ボディ骨格とシャーシがしっかりしているため、全塗装とシート交換、消耗部品の交換程度で長く住むことができます。
住宅設備は劣化する
管理人は今まで、トイレの水回りの簡単なパイプ交換やキッチンの蛇口交換、トイレの浮き球を交換した程度。
あと、当時の家はオール電化ではないため、ガス給湯器とガスコンロ、トイレのウォシュレットは交換が必要となります。
もちろん、エアコンも頃合いを見て要交換となります。
日本の夏は猛暑日の記録がデフォルトと化しているため、エアコンは生命維持装置として必須の設備。
どのような家でも、以上の住宅設備は交換の時期を迎えます。
リフォームが容易
セキスイハイムのユニット工法は大掛かりなリフォームを可能としています。
壁をぶちぬいて空間を広くしたり、間取りの変更は十分可能。あと、土地の建ぺい率と容積率、北側斜線制限の問題が絡んでくるものの、土地面積に余裕があるならば、増築が可能です。
リユース可能
セキスイハイムの伝統的なマーケティングとして「住宅展示場のモデルハウスを○○○万円でお譲りします。」というキャンペーンを実施しています。
これは、セキスイハイムが一定期間、使用してきた住宅展示場のモデルハウスを安く販売する企画。
このマーケティングは、セキスイハイムとお施主様の両者にメリットがあります。
セキスイハイムはモデルハウスを現金化でき、お施主様はほぼ新築の家が激安価格で買えます。このリユースは環境にもプラス。
セキスイハイムはユニット工法であるが故、なんとモデルハウスを分解し、お施主様の土地にユニットを運んで組み立てるリユースを可能としています。
リユースが可能な住宅はセキスイハイムとコンテナハウス、トレーラーハウスくらい。
他の工法でリユースは有り得ません。
(出典)SEKISUI HEIM
デメリット
気密性能は普通
管理人が住むセキスイハイムの新築当時、他の木造住宅と比べて明らかに気密性が高い家でした。その後、家の気密性が重要視されて向上してきました。
現代の住宅水準から比較すると、管理人が住むセキスイハイムは気密性が高いとは言えません。キッチンとトイレの換気扇が90年代の物であるため、気密性が劣ります。
あと、家の住み心地を左右するリビングなどの窓が90年代の「引き違い窓」のため、この部分が家の気密性を下げてしまいます。
現在のセキスイハイム
現在のセキスイハイムの家の気密性能は平均レベル。ハイムは、木造のC値(家の気密性能値)は2.0以下、S造(鉄骨造)は2.2以下を基準としているようです。
ちなみに、スーパー工務店が建てる木造住宅はC値「0.30」を叩き出すため、それに対するセキスイハイムのC値性能は高くはありません。
断熱性能は普通
基本的に、S造の家は断熱性能に限界があると思います。何故なら、鉄の熱伝導率は「48.0」W/mk。鉄の熱伝導率は杉やヒノキの480倍なのです。
素材の熱伝導率
素材の種類 | 熱伝導率 (W/mk) |
高性能グラスウール16K | 0.038 |
杉、ヒノキ | 0.10 |
合板 | 0.13 |
コンクリート | 1.63 |
鉄 | 48.0 |
アルミニウム | 237.0 |
熱伝導率の値が小さいほど、熱を伝えにくいという意味。
上の表の中で「グラスウールは熱を伝えにくく、反対にアルミニウムはとても熱を伝えやすい」という意味。
もし、アルミニウム躯体で家を建てたらならば、夏は暑く、冬は寒く、温度変化の激しい拷問の家と化すのは間違いありません。
熱伝導率の数字を眺めてもピンと来ないと思います。分かりやすく表現すると、「冬、手で触って冷たく感じる物」は熱伝導率が高いのです。
身近な例として、自動車のボディを触れば、一瞬で理解できます。
【冬季】自動車のボディは冷えていて、触ると冷たく感じます。
セキスイハイムのみならず、他のS造のハウスメーカーを含めて、S造の構造躯体は鉄である以上、災害に強いメリットがある反面、外気温の影響を受けやすいのです。
こればかりは鉄という躯体の宿命的な問題であり、断熱材でカバーしても自ずと限界があるのでしょう。
ちなみに、日本国内の各ビルダーが建てている家の中で、UA値トップ10に入る家の全ては「木造」。セキスイハイムのユニット工法のUA値はS造の中ではトップクラスではあるものの、S造は断熱性に関しては高性能な木造にはかなわないようです。
現在のセキスイハイム
現在のセキスイハイムの家の断熱性能は、UA値(外皮平均熱貫流率)「0.6」あたり。タマホームのUA値は「0.53」ほどのため、セキスイハイムのUA値は標準的と言えます。
ちなみに、スーパー工務店が建てる木造住宅はUA値「0.25」を叩き出します。
間取りの自由度が低い
セキスイハイムのユニット工法はユニットのサイズが規格化されていて、現在は5種類あります。
ユニット工法は土地の形状、建ぺい率、容積率、北側斜線制限と板挟みとなり、在来工法の木造のような間取りの自由度の面で劣ります。あと、2~3坪部屋を広くしたくても、直方体のユニット工法は自由度に劣ります。
よって、狭小地や変形地にセキスイハイムの家を建てる場合、制限を受ける可能性があります。
言い換えますと、土地が広ければ、セキスイハイムの本領を発揮しやすくなります。
デザインの好みが分かれる
かねてより、セキスイハイムのデザインはダサいという声があります。一昔前までのセキスイハイムのデザインは、よく言えば武骨で機能美に満ちていました。
言い換えれば、思いっきり四角いデザインで芸が無いと言えば、芸が無いのでしょう。
しかし、今日のセキスイハイムのデザインは随分ブラッシュアップされていると思います。
S造のパルフェ、パルフェbjスタイル、スマートパワーステーションFR、スマートパワーステーションGR、スマートパワーステーションアーバン、ドマーニ(切妻屋根)のどれもが今っぽくデザインされています。
木造のグランツーユーVは落ち着きのあるデザインで好感が持てます。
坪単価が高め
セキスイハイムのS造は二昔前と比較して、随分と高級な価格帯になっています。
概して、大手ハウスメーカーが建てる住宅の坪単価には割高感があります。
もちろん、大手ビルダーは研究開発、設計から営業まで多くの社員を抱え、住宅展示場にモデルハウスを構えています。
更に、大手はテレビCMなどのマーケティングにコストをかけている以上、高コスト経営。それが売価に反映されます。
もちろん、大手ハウスメーカーならではのメリットもあるため、浅はかな知識で良い悪いを論じるのは無意味です。
まとめ
1つの家で長く生活すると、その家のメリットとデメリットを自分の体全体で体感することができます。やはり、家にとって大切な性能は以下の3つだと思います。
・構造躯体がしっかりしていて災害に強い
・気密性能が高い
・断熱性能が高い
窓以外の住宅設備はリフォーム可能
語弊があるものの、窓以外の住宅設備は枝葉末節的な物。それらは、自動車の装備品に該当します。住宅設備は後々、リフォームが可能です。
もちろん、構造躯体をリフォームするとなると、簡単な話ではありません。大掛かりなリフォームとなるか、構造によってはリフォーム不可の場合もあるでしょう。
管理人が住むセキスイハイムは二昔以上前の建物のため、太陽光パネルや蓄電池の設備は無く、オール電化住宅ではありません。
太陽光パネルシステムの設置には賛否両論があります。
かつて、管理人が太陽光パネルの専門業者にシミュレーション計算してもらったところ、まったくメリットを見出すことができませんでした。あと、家の設計上、太陽光パネルの設置が前提ではない家にパネルの設置はリスクがあります。
話を戻しますと、時代の流れはオール電化ながら、都市ガス給湯器はイニシャルコストを含めたメリットがあります。
とかく人は目で見て分かりやすい、目立つ住宅設備に目が行きがちなもの。しかし、それらは家の本質ではなく住宅設備。
大手ハウスメーカーのオフィシャルサイトを閲覧すると、全館空調、床下暖房、ジェットバス、浴室乾燥機、電動シャッター、電動ハニカムスクリーンなどの最新設備の写真と説明文が人々を魅了するかもしれません。
しかし、電気仕掛けの設備は中長期的に必ず故障します。その時の修理や交換コストを予め視野に入れて検討する必要があります。
例えば、大掛かりな全館空調ではなく、家電量販店で購入できるエアコン2台で30坪の家を空調できる高気密高断熱住宅の方が空調機器のイニシャルコストとランニングコストを抑えることができ、スマートな家。
最低限、家の構造がしっかりしていて、気密性と断熱性能が高ければ、安心で快適な生活ができます。
夏の暑さ対策、冬の寒さ対策
セキスイハイムのユニットは工場で80%完成し、現場で組み立てる工法のため、家というより工業製品に近い商品。工業製品である以上、短所の1つや2つはあるものです。
管理人が住む昔のセキスイハイムの場合、やはり、窓の断熱性能が劣ります。そして、最新のセキスイハイムであっても、窓によっては夏の眩しさや暑さ、西日が気になるかもしれません。
木造、S造、RC造、SRC造の共通点として、建物の最大の弱点は「窓」。
建物の中で最も断熱性能が低く、熱が出入りする場所は「窓」。
窓がトリプルガラスであっても、その断熱性能は壁や床、屋根より劣るのです。
そこで、夏の暑さと冬の寒さを和らげて、エアコン効率がアップして節電にも繋がる方法があります。それは、窓ガラスに貼り付けるガラスフィルムです。
ガラスフィルムで夏はより涼しく、冬はより暖かい
具体的には、窓ガラスに建築用の「遮熱フィルム」または「遮熱断熱フィルム」を施工します。
遮熱フィルム
「遮熱フィルム」は夏の眩しく暑い日射熱を大幅にカットし、エアコン効率がアップします。これにより、節電にも繋がります。
更に、ガラスフィルムはカーテンやサンシェード、ブラインドのように視界が悪化しないメリットがあります。
詳細は関連記事をご参照ください。
【関連記事】
遮熱断熱フィルム
「遮熱断熱フィルム」は夏の眩しく暑い日射熱を大幅にカットし、窓の断熱性能が約30%アップするため、冬の室内がより暖かくなります。
詳細は関連記事をご参照ください。
【関連記事】
【関連記事2】
インテリアの雄であるサンゲツさんの省エネ効果テスト結果。遮熱断熱フィルムの省エネ効果は冷房費27.5%,暖房費7.1%OFF。
防犯フィルム
1Fの窓ガラスが防犯ガラスでは無い場合、窓に「防犯フィルム」を施工することで家のセキュリティ性能を高めることができます。
詳細は関連記事をご参照ください。
【関連記事】
コメント