「家」は一生の中で一番、高額な買い物。
一戸建て住宅の購入を検討するにあたり、選択肢は次の4つ。
・新築一戸建て
・分譲住宅
・建売住宅
・中古一戸建て
それぞれ、メリットとデメリットがある中で、今回のブログは「中古一戸建て」に焦点を当ててみます。
日本の中古住宅の流通シェアは全ての住宅市場の約「15%」程度。80%台前半のアメリカや80%台後半のイギリスと比較して、これは、かなり低い値。
では、日本の中古住宅の数が少ないのでしょうか?
いやいや、とんでもありません。日本では家が余っているのです。
空き家問題がニュースで報道される機会が増えつつある昨今、日本の住宅ストック数は全世帯数を上回っています。分かりやすく、このような関係です。
日本の住宅ストック数 > 全世帯数
日本国内の家は余っています。日本の空き家問題は止まるどころか、全国的に空き物件が増加中なのです。
これには複雑な社会的背景が関係していると言われるものの、1つの理由として、日本には「新築信仰」が根強く、中古住宅より新築住宅のニーズが多いのです。
2023年度の新設住宅着工戸数は約81万戸。日本国内で家が余っているのに、中古より新築を求めるニーズの方が多いのです。
考え方によっては、ここにチャンスがあると考える人もいるのではないでしょうか?
では、中古住宅のメリットとデメリットを検証しています。
中古住宅のメリット,デメリット
そもそも、住宅の購入頻度は基本的に一生に一回。中には、人によって二回。
住宅は購入頻度が極端に少ない物である以上、住宅と不動産業界の方を除き、住宅情報に詳しい方はほとんどいません。
ここで一応、商品の購入頻度と商品知識の関係について押さえておきます。
iPhoneやAndroidの機種変更タイミングは3~4年毎と言われます。2年毎に機種変更するユーザーも少なくないと思います。
としますと、スマホユーザーは自ずとスマホに詳しくなります。
旧機種と新機種を比較して、機能性や操作性が明らかに向上しています。ユーザーが数年毎に商品を買い替えることで、商品知識が自然にアップデートされて詳しくなっていきます。
他方、「家」の購入を検討する人のほとんどは、家購入の初心者。よって、彼らは家に関する情報をほとんど持っていません。
そこで、当ブログの管理人は分かりやすく、中古住宅を自動車に置き換えて解説してみたいと思います。
中古車市場
カーディーラーで新車を購入して登録した瞬間、その自動車の残存価値は下がります。自動車は耐久消費財であり動産。一部の例外を除き、自動車の残存価値は登録後、年々低下していきます。
新車購入時、見積書の内訳を見ると、車両本体価格にオプションパーツの価格、税金関係や自賠責保険、任意保険、登録手数料などの諸費用が加算されます。
対する中古車の購入時、一部の例外を除き、新車と比べて当然、車両本体価格が安くなります。
中古車に複数のオプションパーツが装着されていても、それらは販売価格にほとんど反映されません。よって、オプションパーツはおまけで付いてくるようなもの。更に、諸費用もグッと安くなります。
ここで、中古車のメリットとデメリットをまとめてみます。
メリット
・車両本体価格が安い。
・諸経費が安い。
・不人気車を狙うとお買い得。
・中古車情報サイトを活用して、全国の中古車在庫をリサーチできる。
・購入手続きから納車までの期間が短い。
・人気車種の選択肢が多い。
・高年式中古車(日本車)の故障発生率は低い。
デメリット
・ディーラー認定中古車と町の中古販売店が扱う中古車にはコンディションの違いがある。
・年式が古く、走行距離が多い中古車はリスクがある。
・古い旧車ほど、予防安全性能や衝突安全性能が低い。
・素人が中古車のコンディションを見極めることはほぼ不可能。
・希望のボディカラーやグレードが見つからないことがある。
・中古車販売店の保証は限定的。
・中古車のコンディションによっては、メンテナンス費用が必要。
中古住宅市場
中古住宅は中古車と一部、似ているところがあります。
メリット
・希望エリアで中古住宅を探すことができる。
・新築住宅より20~50%安く購入できる。
・リノベーションやリフォームが自由。
→分譲マンションは管理規約に縛られるため、小規模なリフォームでも管理組合の許可が必要。共用部分である壁やサッシ、窓ガラス、バルコニー、給排水、玄関扉などのリフォームは不可、または、制限がある。
・分譲マンションのような月々の修繕積立金が不要。
→外壁塗装やエコキュート、IH、給排水管の修理や交換費用を積み立てる必要がある。
・隣家との距離感がある。
→一戸建て住宅は壁一枚で隔てられている集合住宅とは異なり、隣家、隣人との距離感がある。
・家の建て替えが可能。
・土地という換金性のある資産が残る。
デメリット
・築年数により、耐震性の問題がある。
・築年数が古い家ほど設備が古い。
・1990年代までに建てられた一戸建て住宅は断熱性と気密性が低い。
・想定外のトラブルが発生する可能性がある。
→ホームインスペクションによる家のチェックが必要。
・住宅ローン審査が厳しい。
・築20年超の一戸建て住宅を購入する場合、住宅ローン控除を受けられない。
中古住宅市場の特異性
2019年、日本国内の自動車販売台数は519万台。同年の中古車登録台数は384万台。毎年、新車と中古車販売台数は上下するものの、中古車の登録台数は全自動車販売台数のうち「40%」以上を占めています。
このことからも、日本市場で中古車の購入はごく普通のことであることが読み取れます。
対する中古住宅の場合、冒頭でお話ししたように、日本の中古住宅の流通シェアは全ての住宅市場の約「15%」程度。自動車業界と比較して、日本の中古住宅の流通シェアはとても低いのです。
もちろん、動産の自動車と不動産の家を同じまな板に乗せての比較は少々、無理はあります。
当ブログの管理人が違和感を抱いているのは、日本国内の家は余っているのに、それらがスムーズに市場で流通しないのはアンバランスな状態だと思うのです。
あたかも、乗らなくなった車が空き地で放置されているようなもの。
2019年、2018年の住宅・土地統計調査のデータが公表されています。
それによりますと、全国の空き家の数は約「846万戸」。全住宅のうち、空き家率は約「13.6%」。日本国内の空き家の数は増加傾向にあり、今後も増加トレンドが続くと予想されています。
そこで、少々、古めの中古一戸建てを購入してリフォームしても、新築一戸建てを購入するよりは安く済みます。しかし、日本人の多くは新築一戸建てに対する憧れが強いのです。
自動車に例えると、日本人の多くは「新車信仰」が強く、あまり中古車には食指を動かさないようなものなのです。
ポジショントークは割り引いて聞く
ハウスビルダーは家を設計して建てるのが仕事。中でも、日本でトップクラスの高気密高断熱住宅を建てている工務店は、中古住宅に否定的な考えを持っていて当然です。
そのような工務店は高レベルな気密性と断熱性、耐震性を持つ家を建てているため、中古住宅に対して評価が厳しくなるのは自明の理なのです。
確かに1990年代までは、家の気密性と断熱性に対する意識が今ほどは高くありませんでした。しかし、2000年あたりから徐々に家の気密性と断熱性が重要視されるトレンドが高まってきました。
このような背景を意識しつつ、中古住宅を選択肢に入れるのも1つの考え方です。
中古一戸建ても選択肢の1つ
家に理想を追い求めると、選択肢は新築一戸建て、分譲住宅、建売住宅。
こられの中で、新築一戸建てを購入した経験者でしたらご存知のとおり、家づくりには思いのほか諸費用がかかり、最低限の外構工事費用もかかります。
家づくりのプロセスで多くの場合、いくらお金があっても足りない状況に直面するのが普通です。
お施主様の年収や貯金額は様々ながら、多くの子育て世代にとって、新築一戸建ては高額な買い物。
ここで、家に対する理想像や価値観に柔軟性を取り入れてみると、先ほどの3つの選択肢に中古一戸建てを加えることができます。
中古一戸建ての立地条件と築年数、土地面積と延べ床面積、躯体の状態、断熱材の状態、間取り、劣化具合などは様々。
そもそも、中古住宅は中古車のように選択肢が多くありません。中古住宅との出会いは「縁」が大切なのは言うまでも無く、選り好みしていたら「縁」が遠ざかってしまいます。
中古一戸建ては中古車と同様、何もかもが完璧というわけにはいきません。
中古一戸建ての価格とコンディションを両天秤にかけて、リフォームしながら新居生活をスタートさせるのも1つの人生と言えるかもしれません。
ホームインスペクションの活用
中古住宅で一番気になるのは「家」のコンディション。ずぶの素人が家の内観と外観をぐるっと見たところで、その家の状態を把握することは不可能です。
そこで、ホームインスペクターにホームインスペクションを依頼し、家の購入を検討する人が増えつつあります。ホームインスペクターは公平な立場で住宅を診断します。診断結果から家のいい点、問題点を知ることができます。
ホームインスペクションにより、屋根と壁、床、基礎、給排水設備等のコンディションを把握することができ、欠陥住宅なのか否か、家のリフォームが必要なのか否か判断できます。
気になるインスペクションの費用は目視による診断が5万円前後、床下と屋根裏診断と専門機器を使う診断が10万円前後が目安。
運悪く欠陥住宅を掴んでしまい、後々後悔することを考えたら、納得できる費用と言えるのではないでしょうか。
まとめ
中古住宅である以上、中古車と同様に完璧を求めることはできません。そこで、素人は家の診断に限界があるため、先ほどのホームインスペクションを利用することでリアルな家のコンディションを判断できます。
中古住宅選びで大切なポイントは、まず違法建築ではなく、家の基礎、躯体、屋根、軒裏、外壁、床が物理的に問題が無ければ、第一チェックポイント通過。
そして、ドアと窓の開閉具合、床、水回り、クロスの中で、床とクロスの張り替えは簡単なリフォームに入ります。あと、ガス給湯器の交換費用は高額ではありません。
但し、エコキュートの交換工事費用は約60万円前後のため、住宅設備の中で高額な部類に入ります。
そして、忘れてはならない外壁塗装は家を長持ちさせるために必須のメンテナンス。
中古一戸建ての大きなメリットは「価格」、そして土地という「資産価値」。家のメンテナンスを楽しみながら容認し、手を入れながら中古住宅で生活するうちに、得も言われぬ愛着がわいてくるかもしれません。
家の暑さ、寒さ対策は窓から
ちょっと古めの一戸建てともなると、どうしても気密性と断熱性に劣るのは否めません。夏は暑く、冬は寒くなりがちです。
そこで、家の気密性をリフォームしようと思案しても、実際問題として、そのようなリフォームは容易ではなく現実的でもありません。その点、夏の暑さと冬の寒さを和らげるリフォームとして「窓」に注目したいもの。
家の中で、一番の弱点は「窓」。
建物の中で「窓」は最も断熱性能が低く、熱が簡単に出入りする場所。この窓を強化することで、夏はより涼しく、冬はより暖かい室内環境を整えることができます。中長期的には節電にも繋がります。
具体的には、窓に建築用のガラスフィルムを貼り付けます。
窓ガラスフィルムで窓をリフォーム
一戸建て住宅の場合、冬の断熱性能を考慮すると「遮熱断熱フィルム」がマッチします。
夏季
遮熱断熱フィルムは窓から室内に流入する日射熱を約「40~60%」カットします。フィルムが太陽の遠赤外線をカットすることで、夏のエアコン効率がアップします。エアコンの負荷が軽減することで節電にも繋がります。
冬季
冬季、冷え切った外気が窓ガラスとサッシを冷やし、室内を冷やし続けます。同時に、エアコン暖房などの暖房器具で暖められた熱(遠赤外線)が窓から外へ流出します。
遮熱断熱フィルムは室内の遠赤外線を反射する効果があり、より暖かい室内環境を整えることができます。
詳細は関連記事をご参照ください。
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