住宅の窓の内側に取り付ける「ハニカムスクリーン」は「ハニカムブラインド」や「ハニカムシェード」とも呼ばれます。
このハニカム(Honeycomb)は蜂(ハチ)の巣を意味します。ご存知、正六角形(正六角柱)をキレイに並べた構造をハニカムと呼びます。
ハニカムスクリーンの六角形の空間が断熱効果を発揮し、窓際の暑さと寒さを和らげてくれます。
手頃なニトリやIKEA/イケアのハニカムスクリーン、そして、本格的なメーカーからハニカムスクリーンが販売されています。
夏季と冬季、窓際の遮熱と断熱対策として、カーテンやロールカーテン以外にハニカムスクリーンも気になるアイテム。
そこで、ハニカムスクリーンの特徴とメリット&デメリット、そして、更にハニカムスクリーンを深掘りして解説します。
ハニカムスクリーンの特徴
ハニカムスクリーンの特徴は本体の断面に六角形の空気層があり、その空間が断熱効果を発揮します。同時にプライバシーを保護できます。
夏季
夏季、ハニカムスクリーンの六角形の空気層が断熱効果を発揮し、室内に流入する日射熱を和らげてくれます。同時に、日射の眩しさを和らげてくれます。
ハニカムスクリーンの断熱効果によりエアコン効率が向上し、節電にも繋がります。
冬季
冬季、ハニカムスクリーンの空気層が断熱効果を発揮し、窓から室内に流入してくる冷気を和らげてくれます。同時に、暖房器具で暖められた室内の熱が外へ逃げにくくなります。
ハニカムスクリーンは断熱ブラインドとして、夏も冬も断熱効果を発揮してくれそうです。
ニトリとIKEA/イケアのハニカムブラインド
当ブログの管理人がニトリとイケア/IKEAの公式通販サイトでハニカムブラインドの種類とサイズ、カラーをリサーチしてみました。
ニトリのサイトはハニカムシェード、イケア/IKEAのサイトは(遮光)断熱ブラインドと表現しています。
ニトリ・ハニカムシェード
ニトリの公式通販ニトリネットで検索しますと、コードレスハニカムシェード(サージュ)、コードレスハニカムシェード(サージュ2)、遮光コードレスハニカムシェード(WH)の3モデルがヒットしました。
コードレスハニカムシェード(サージュ)
サイズ(cm) 幅×奥行×高さ | カラー |
29×4×150 | ホワイト、ネイビー、グレー |
60×4×180 | ネイビー |
90×4×220 | グレー |
180×4×220 | ホワイト、ネイビー、グレー |
コードレスハニカムシェード(サージュ2)
サイズ(cm) 幅×奥行×高さ | カラー |
29×4×150 | ホワイト、グレー |
60×4×180 | ホワイト、グレー |
90×4×220 | ホワイト、グレー |
180×4×220 | ホワイト、グレー |
※保温効果:34%、断熱効果:25%
遮光コードレスハニカムシェード(WH)
サイズ(cm) 幅×奥行×高さ | カラー |
29×4.6×150 | ホワイト |
60×4.6×180 | ホワイト |
90×4.6×220 | ホワイト |
180×4.6×220 | ホワイト |
※保温効果:34%、断熱効果:52%
※商品の仕様とラインアップ、価格は変更される場合があります。
(出典)ニトリ公式通販ニトリネット
イケア/IKEA(遮熱)断熱ブラインド
イケア/IKEA公式オンラインストアで検索しますと、HOPPVALS/ホップヴァルス、TRIPPEVALS/トリッペヴァルスの2モデルがヒットしました。
HOPPVALS/ホップヴァルス(断熱ブラインド)
サイズ(cm) 幅×高さ | カラー |
60×155 | ホワイト |
60×210 | ↓ |
80×155 | ↓ |
100×155 | ↓ |
100×210 | ↓ |
120×155 | ↓ |
120×210 | ↓ |
140×155 | ↓ |
140×210 | ↓ |
TRIPPEVALS/トリッペヴァルス(遮光断熱ブラインド)
サイズ(cm) 幅×高さ | カラー |
60×195 | ライトグレー |
80×195 | ↓ |
100×195 | ↓ |
120×195 | ↓ |
140×195 | ↓ |
※商品の仕様とラインアップ、価格は変更される場合があります。
ハニカムスクリーンのメリット&デメリット
メリット
・六角柱の空気層が断熱効果を発揮
・採光、遮熱、断熱タイプから選べる
・夏の太陽光の眩しさと暑さが和らぐ
・冬の寒さが和らぐ
・冷房&暖房効率がUP
・プライバシーを保護できる
・リモコン操作できる電動タイプ有り
→ 吹き抜け空間の2F窓に電動タイプのハニカムスクリーンを設置すると便利。
デメリット
・冬季、窓が結露しやすい
・眺望がゼロになる
・室内が若干、暗くなる(遮光タイプは室内がほぼ真っ暗になる)
・南側の窓にハニカムスクリーンを設置すると、冬季は日射熱取得率が低下する
・カーテンのように洗濯できない
・窓枠の奥行が5~6cm必要
ハニカムスクリーンの取り付け方法
ブラケットを装着
ハニカムスクリーンにはブラケットと呼ばれる金属製の金具とネジが同梱されています。
窓の桟(さん)[木枠部分]にプラスドライバーでブラケットをネジで固定し、あとはハニカムスクリーンセットするだけです。
カーテンレールに装着
ハニカムスクリーンの中には、カーテンレールにブラケットを取り付けるタイプもあります。賃貸物件でしたら、このタイプを選択します。
ハニカムスクリーンを考察
大手ハウスメーカーとして知られている一条工務店のi-smartとi-cubeの家には、ハンターダグラス社製/Hunter Douglasのイージーライズ/EasyRise TMという商品名のハニカムシェードが標準装備されています。
高気密高断熱住宅の雄として君臨する一条工務店がハニカムシェードを標準採用、またはオプションで用意している背景として、本格的な高気密高断熱住宅とハニカムシェードの相性がいいのが理由なのでしょう。
確かに、ハニカムシェードは窓際の断熱性能を高めることができ、夏の冷房効率、そして、冬の暖房効率がアップします。これによる節電効果も期待できます。
ハニカムシェードは一条工務店が選んだ窓の断熱対策。
しかし、ハニカムシェードは無視できないデメリットもあります。
窓が結露しやすい
冬季、ハニカムスクリーンにより、窓とサッシが結露しやすくなります。
「ハニカムスクリーン 結露」でGoogle検索すると、「結露でカビが生えた」「結露で困った」「結露が醜い」などのブログ記事がヒットします。
一条工務店のi-cubeに標準装備の「ハニカムスクリーン+高性能な窓」であっても、諸条件によっては窓が結露します。特に、寝室の窓は結露しやすくなります。
増してや、昔の「単板ガラス+アルミサッシ」にハニカムスクリーンを設置すると、高い確率で窓とサッシが結露しやすくなります。
これは、悩ましいデメリット。
恐らく、窓の結露を軽く考えている人が多いかもしれません。サッシの下部と窓が結露して水滴が目立つと、「あータオルで拭かなきゃ」という感覚かもしれません。
しかし、結露は人と建物にとって、百害あって一利なしの悩ましい問題。
建物の結露は「表面結露」と「内部結露」の2種類に分類されます。
表面結露
健康問題
冬季、結露する窓は健康被害を受ける元凶となります。
窓とサッシに発生した結露によりカビやダニが発生し、喘息、気管支炎などのアレルギー症状を引き起こす原因になります。
窓の結露によりカビが発生
▼
カビやホコリをエサとするダニが発生
▼
アレルギーの原因となるダニの死骸やフンが発生
▼
せき、くしゃみ、鼻水、肌荒れなどのアレルギー症状の発症
アレルギー疾患
日本人の約2人に1人はアレルギー疾患を抱えているという報告があります。
アレルギー疾患 | 推計患者数 (人) |
喘息 | 1,177,000 |
アレルギー性鼻炎(※) | 663,000 |
アトピー性皮膚炎 | 456,000 |
結膜炎 | 278,000 |
(※)花粉によるものを含む。
(出典)厚生労働省-アレルギー疾患の現状等(PDF)
黒カビ問題
冬季、特に家の北側の窓は南側より結露しやすい傾向があります。
「冬は寒いからイヤ!」とばかりに、北側の窓のハニカムスクリーンを閉め切ったまま放置すると、知らない間に窓とサッシに黒カビが発生している場合があります。
更に結露がひどいと、木の窓枠が水分を吸収してしまっている場合もあります。
木製の窓枠が水分を吸収した状態のまま放置すると、将来的に厄介な問題になるため、これは要注意です。
内部結露
結露により、壁クロスのカビや剥がれが発生することがあります。特に、換気が良くないマンションなどでは、クロスのカビ発生や剥がれは良くあること。
更に、木造やS造(鉄骨造)の壁内が結露の影響を受けると、建物の壁と柱が構造的な被害を受けてしまいます。
これは、壁体内結露(へきたいないけつろ)や壁内結露(へきないけつろ)と呼ばれ、木が中長期的に結露した水分を吸収し、やがて腐ってしまいます。鉄骨造であれば、鉄が錆びるリスクがあります。
検索すると、壁体内結露により、木が腐ってしまっている写真が数多くヒットします。ただ、あまりにも醜い写真のため、当ページで写真の掲載は控えます。
これは建物にとって最悪の末路であり、絶対に避ける必要があるのです。
ハニカムスクリーンの結露対策
窓の結露対策として、冬季はハニカムスクリーンを全閉状態から上方に10~20cmほど開けて、窓とサッシを結露させない対策が必要です。
しかし、この対策は窓の断熱性能の低下をもたらしてしまい、悩ましい二律背反の問題があります。
窓とサッシが結露し始めるタイミング(露点温度)は、窓とサッシの断熱性能(U値:熱貫流率)、室温、室内の湿度、外気温によって異なります。
やはり、冬季は窓とサッシの結露防止を最優先させ、ハニカムスクリーンを少々、上方に開けておく方が賢明です。そして、窓の断熱性能には目をつぶるのです。
閉塞感が漂う
窓にハニカムスクリーンを設置すると、眺望がゼロになってしまいます。
当ブログ管理人の個人的な見解として、これがハニカムの致命的な構造上の欠点であり、デメリットだと思います。
ハニカムスクリーンにより、あたかも窓に障子を閉めたような状態になってしまい、閉塞感(へいそくかん)が漂うのです。
そこで、ハニカムスクリーンを全開にすると、内窓に何も無い状態。窓によっては、外から室内が丸見えになってしまいます。
窓には「採光、眺望、通風」という建築物にとって大切な役割がある以上、管理人は窓からの眺望は大切な要素だと思うのです。
日射熱取得率の問題
例えば、南側のリビング窓(掃き出し窓)にハニカムスクリーンを設置したとします。
夏季
ハニカムスクリーンの断熱効果により、窓から入ってくる太陽光の眩しさと日射熱を和らげてくれます。これによりエアコン効率が向上し、節電効果も期待できます。
冬季
太陽高度が低い冬季、太陽光は室内の奥まで入ってきます。冬季、日射熱は部屋を暖めてくれる無料の熱源。
南側のリビング窓から約600~700Wの熱量が室内に流入します。これは、こたつ1台分の熱量に相当します。
しかし、ハニカムスクリーンが窓を通して流入してくる日射熱を和らげるため、日射熱取得率が低下します。
よって、冬季、室内に日射熱を入れるためには、南側のリビング窓のハニカムスクリーンを開ける必要があります。もちろん、これによりハニカムの断熱効果はゼロになります。
ハニカムスクリーンは夏向きの目隠し断熱ブラインド
ハニカムスクリーンが使われるシーンを夏と冬、結露を含めて総合的に勘案すると、ハニカムは意外と使いこなすのが難しい製品です。
結論として、「ハニカムスクリーンは夏向きの目隠し断熱ブラインド」として、割り切って使う製品ではないでしょうか。
夏季
ハニカムスクリーンを全閉にすれば、窓際の断熱性とエアコン効率が高まります。よって、節電にも繋がります。同時に日射の眩しさを和らげることができます。
デメリット
デメリットとして、眺望がゼロになります。
冬季
ハニカムスクリーンを全閉にすると、窓際の断熱性が高まります。しかし、窓の断熱性能と室温、室内の湿度、外気温によっては窓とサッシが結露します。
建物にとって、窓際の断熱性と結露対策のどちらが重要かと言えば、明らかに結露対策。
結露対策 > [重要度] > 断熱性
ハニカムスクリーンを使いこなすには、冬季は窓際の断熱性より、結露対策を優先させる必要があります。よって、冬季はハニカムスクリーンを全閉状態から10~20cmほど上方に開けて、結露対策を優先させるのです。
デメリット
デメリットとして、窓際の断熱性が低下します。
ハニカムスクリーンを設置する窓
初めて、家の窓にハニカムスクリーンを設置するならば、冬季がおすすめ。なぜなら、窓とサッシが結露しやすい冬にハニカムスクリーンを設置してみることで、結露発生の有無を確認できるからです。
では、どの窓にハニカムスクリーンを設置してみたらいいでしょうか?
まず最初に、目隠ししたい小さな窓を選んでみるのが1つの方法。隣家や通行人の視線が気になる窓にテスト的にハニカムスクリーンを設置してみるのです。
ハニカムを設置後、窓とサッシに結露が目立つ場合、他の窓にハニカムスクリーンを設置しても、同様に結露しやすいと推測できます。その場合、他の方法を検討します。
ハニカムスクリーンはロールカーテンとは異なり、どうしても結露と背中合わせの問題があります。最初は小さくテストすることで、リスクをヘッジできます。
窓の採光、眺望、通風性
窓は「採光、眺望、通風」の3つの役割を持っています。
ペアガラスの掃き出し窓
ペアガラスがセットされた掃き出し窓の「採光、眺望、通風」性能を5段階でイメージ評価すると、このようになります。
【採光】★★★★★
【眺望】★★★★★
【通風】★★★★★
ペアガラスの掃き出し窓+ハニカムスクリーン
ペアガラスがセットされた掃き出し窓にハニカムスクリーンを設置すると、「採光、眺望、通風」性能はこのようなイメージ評価になります。
【採光】★★★☆☆
【眺望】☆☆☆☆☆
【通風】★★★☆☆
物事には、メリットとデメリットの相反する二律背反の要素があります。
ハニカムスクリーンにより、一定の断熱効果は得られるものの、眺望がゼロになってしまいます。これをどのように捉えるかは人それぞれ。
ハニカムスクリーンを設置する場所によっては、失うものも大きいと考える方もいることでしょう。
ペアガラスの掃き出し窓+ガラスフィルム
ここで、窓ガラスに貼りつける、窓用のガラスフィルムについて考えてみます。
一例として、窓ガラスに「遮熱断熱フィルム」を施工すると、5段階のイメージ評価はこのようになります。
【採光】★★★★★ ~ ★★★★☆
【眺望】★★★★★ ~ ★★★★☆
【通風】★★★★★
遮熱断熱フィルムの種類により、可視光線透過率が異なります。よって、採光と眺望はフィルムの種類によって変わってきます。
遮熱断熱フィルムの色味がほぼ透明タイプの場合、窓の採光と眺望は5つ星「★★★★★」。肉眼でフィルムは透明に見えます。
そして、遮熱断熱フィルムの色味が濃いタイプほど、可視光線透過率が低下します。ガラスに若干、色が付いたように見えます。
その反面、熱貫流率(W/m2・K)の値が小さくなり、断熱効果が高まります。
遮熱断熱フィルムの中には、熱貫流率が「4.3W/m2・K」というタイプがあります。
例えば、3mm厚の単板フロートガラスに熱貫流率「4.3」のフィルムを施工すると、計算上、断熱性能が約「30%」アップし、「ペアガラス+アルミサッシ」レベルの断熱性能が得られます。
まとめ
ハニカムスクリーンは使いこなすのが意外と難しい製品。
当ブログの管理人は、ハニカムスクリーンは「夏向きの目隠し断熱ブラインド」として割り切って使う製品だと考えます。
そして、冬季は窓の結露対策を優先させ、ハニカムの断熱性には目をつぶるのです。
ハニカムスクリーンは夏と冬の両シーズンで効果を得られる製品ではないと理解しておく必要があります。
遮熱断熱フィルム
生活の中で窓からの「眺望」を大切に考える方は「遮熱断熱フィルム」も選択肢の一つ。
遮熱断熱フィルムは理論的な製品であり、フィルム毎に可視光線透過率や熱貫流率が数値で表示されています。
建築物の最大の弱点は「窓」。
窓に「遮熱と断熱性能」を持つガラスフィルムを施工すると、今以上に安全で安心、快適な室内空間を整えることができます。
【関連記事】
コメント