当ブログの管理人は一戸建て住宅を一目見て、築年数が何年なのか?おおよその見当が付きます。
もちろん、誰が見ても築年数が10年以内の家は築浅物件に見えます。家の周囲の外構コンクリートなども、それほど汚れていません。
その後、建物と外構は年数経過により、くすんできたり汚れが目立ってきます。家の手入れが悪いと、劣化部分が目立ってきます。
定期的に外壁塗装されている一戸建て住宅は、見た目は新築物件と比べて大きな違いはありません。
しかし、家の外観、デザインは流行があり、綺麗な外壁の家でも、管理人は築年数のおおよその見当が付きます。
家の外観の中で、もし壁にガラスルーバー窓、ジャロジー窓、蛇腹窓とも呼ばれる窓が設置されているならば、その家は1990年代までに建てられたと推測できます。
なお、2000年代に建てられた家の中にも、ルーバー窓が設置されているケースはあります。
家にルーバー窓が設置されていると、冬季は隙間風が寒い問題があり、防犯面でも問題があります。
では、ルーバー窓/ジャロジー窓のメリット&デメリットと悩ましい諸問題の解決策について解説していきます。
ルーバー窓/ジャロジー窓のメリット,デメリット
そもそも、ルーバー窓/ジャロジー窓は農業用の温室などに設置する前提で設計された窓。
ところが、なぜか一般住宅にもルーバー窓が設置されるようになり、1990年代まで採用が続いていました。
メリット
・採光を確保しつつ、開口面積が広い。
・通風性能に優れている。
・ガラスの角度調整により、プライバシーを確保できる。
敷地内に木造や鉄骨造でガレージを建てるならば、ルーバー窓は選択肢の1つ。なぜなら、ガレージ内は自動車やバイクの排気ガスが充満するため、通気性のいいルーバー窓の特徴を逆手に取ることができます。
しかし、ルーバー窓の低い防犯性はそのまま。車上荒らしや自動車盗難が心配な方の選択肢はルーバー窓以外となります。
デメリット
・気密性能が低い。
・断熱性能が低い。
・防犯性が低い。
・結露しやすい。
・高価。
まだ、家の気密性能と断熱性能に重きを置いていなかった1990年代まで、家の浴室や洗面所、トイレにルーバー窓が採用されていました。
もし、あなたの家にルーバー窓が設置されているならば、ここで「うーん」と唸ってしまうかもしれません。もちろん、対策はあります。これについては後ほど解説します。
今となっては、ハウスメーカーや工務店、設計事務所が積極的にルーバー窓の設置を提案することは無いと思われます。
もし、ルーバー窓の設置を声高に推奨する業者が存在するならば、前時代的な周回遅れの業者なのかもしれません。
ビルダー業界は「高気密高断熱住宅」が家づくりのトレンドである以上、一戸建て住宅にルーバー窓の設置は考えられないのです。
ただ、例外として、敷地内に独立した車庫を建てるのであれば、ビルダーがルーバー窓の設置を提案するケースがあるかもしれません。
ルーバー窓の問題点
一般住宅にルーバー窓を設置すると、とかくデメリットが目立ちます。
湿った空気、乾燥した空気の流入
建物にルーバー窓を設置すると、外気がガラスルーバーの隙間から室内に流入します。
夏季
梅雨の時期から夏季にかけて、湿った空気がルーバー窓の隙間から室内に流入してきます。なぜなら、湿度が高い空気は、湿度が低い場所へ移動する性質を持っているからです。
湿度が高い空気
↓(移動)↓
湿度が低い場所
これにより、建物内の湿度上昇をもたらします。
雨天時、気密性能が高いとは言い難い家の中の湿度は上昇します。この理由として、外の湿った空気が家の各部の僅かな隙間から室内に流入するからです。
冬季
冬季、冷え切って乾燥した外気がガラスルーバーの隙間から室内に入ってきます。同時に、暖められた室内の熱がガラスルーバーの隙間から外へ逃げていきます。
加湿器で室内を加湿しても、ルーバー窓の隙間から湿度を含んだ空気が外へ流出し、乾燥した外気が室内に流入してきます。
熱の流入、流出
建物にルーバー窓を設置すると、空気がガラスルーバーの隙間から流入、流出します。そもそも、ルーバー窓に複層ガラスを組み込むことはできない構造。
夏季
夏季、30℃~35℃以上の外気がルーバー窓の隙間から室内に流入し、室温を上げてしまいます。
冬季
冬季、エアコン暖房や暖房器具で暖められた部屋の空気がルーバー窓の隙間から外へ流出します。同時に、冷気がルーバー窓の隙間から室内に流入し、室温を下げてしまうのです。
結果的に建物にルーバー窓を設置すると、夏は暑く、冬は寒い室内空間になりやすくなります。
ヒートショックのリスク
特に、冬季の冷え切った脱衣場とバスルームで発生しやすいヒートショック現象は危険なため、注意が必要です。詳細は関連記事をご参照ください。
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低い防犯性
空き巣犯が狙いやすい窓はルーバー窓のようです。
この理由として、ルーバー窓にクレセントなどの錠が無く、簡単に外すことができる設計になっているからです。
空き巣は建物への侵入に「5分」以上かかると、多くは諦めると言われています。
空き巣犯の心理と行動を推察すると、空き巣犯は人目に付かないように、物音を立てずに建物に侵入しようとするのではないでしょうか。空き巣犯が建物の侵入に手間取ると、周囲の歩行者に見つかってしまう可能性が高まります。また、空き巣犯が長い時間、窓を触って侵入を試みていると、隣家の住民が不審な物音に気付く場合もあります。
このような心理から、空き巣犯は簡単に侵入しやすい窓を見ているようなのです。
結露は百害あって一利なし
窓が結露を繰り返すと、窓とサッシにカビが発生しやすく、ダニの発生によるアレルギーなどの健康被害を受ける原因になります。
結露を放置していると、窓周囲の壁紙や塗り壁が水分を吸収し、剥がれやシミの原因になります。
更に進行すると、壁体内結露(へきたいないけつろ)と呼ばれる水分が壁や断熱材、柱などを湿らせて腐らせてしまいます。
結露は人と建物の両方に悪影響を与えます。
コスパの問題
ルーバー窓は構造が複雑なため、それだけコスト高となり販売価格が高くなります。
価格が高い製品に期待が高まるのが人情ながら、先ほどのようにルーバー窓は機能性に劣り、防犯性の問題も抱えています。
オーニング窓
ルーバー窓/ジャロジー窓に似ている窓で「オーニング窓」があります。このタイプは横軸滑り出し窓とも呼ばれます。
オーニング窓とは、サッシ枠付きの1~4枚の窓ガラスが縦方向に連結している窓。手動やハンドル操作で窓を40~50度の角度まで外側に開けることができ、通風を確保できます。
オーニング窓はルーバー窓/ジャロジー窓とは設計が異なり、各窓ガラスにサッシが付いているため気密性が高い特徴があります。
ルーバー窓/ジャロジー窓の問題点の解決策
もし、あなたがお住まいの家にルーバー窓が設置済ならば、ルーバー窓が抱えている諸問題の解決は容易ではありません。しかし、不満を挙げて嘆いていても問題は解決しません。
やはり、効果的な対策はルーバー窓のリフォーム。
ルーバー窓をサッシごと交換
最も理想的な対策は、ルーバー窓をサッシごと高性能な「ペアガラス+樹脂サッシ」などに交換します。
これにより、明らかに隙間対策、寒さ対策となり、気密性、断熱性、防犯性を高めることができます。
デメリットとして、家の外壁の各所にルーバー窓が設置されているとなると、足場を組んだリフォーム工事が大掛かりになる場合もあり、リフォーム費用が嵩みます。
内窓を設置
ルーバー窓は、よくバスルームや洗面所、トイレなどに設置されています。特に冬場、寒いバスルームやトイレは肉体的、精神的に辛いものがあります。
冬の寒さ対策として、今のルーバー窓の内側に内窓を設置すれば、隙間対策、寒さ対策となります。よって、建物の気密性、断熱性、防犯性を高めることができます。
これは「ペアガラス+樹脂サッシ」への交換ほどの断熱性能は期待できないものの、明らかに、今より窓の気密性が高くなります。
内窓の設置は、窓本体の交換に比べたらリフォーム費用が安く、工期も短いメリットがあります。
ルーバー窓の外側に面格子の設置
防犯対策のみに効果が期待できる対策として、ルーバー窓の外側に面格子を設置する方法があります。
空き巣犯にしてみたら、面格子の取り外しに5分以上、10分はかかると察します。これにより、犯罪を未然に防ぐ効果が期待できます。
隙間テープの使用
ルーバー窓の隙間対策として、DIYで隙間テープなどでルーバー窓の隙間を埋めることで、外からの冷気や湿った空気、花粉、ホコリの侵入を少しは防止できます。何もしないよりは、対策した方がいいでしょう。
ただ、この対策でルーバー窓の防犯性は変わらず、諸問題を解決できる根本的な対策ではありません。
なお、賃貸物件の場合、窓のリフォームは不可のため、DIYで隙間テープなどでルーバー窓の隙間を埋めるしかありません。
まとめ
もし、あなたが家づくりを検討されているならば、決してルーバー窓を選択してはならないのです。家づくりで積極的にルーバー窓を設置する理由は1つもありません。
風呂場や洗面所、トイレにルーバー窓を設置したら最悪なのです。
そして、家のルーバー窓でお悩みの方は、先ほどのリーフォームが最適解となります。
ガラスフィルムでより快適に
ルーバー窓/ジャロジー窓のリフォーム後、窓ガラスの内側に機能性を持つガラスフィルムを貼り付けると、より室内空間が快適になります。
ガラスフィルムは種類によって様々な機能があります。
・99%以上、紫外線カット
・遮熱フィルムで夏はより涼しい
・遮熱断熱フィルムで夏はより涼しく、冬はより暖かい
・目隠しフィルムでプライバシー保護
・台風による飛来物が窓ガラスを直撃した際のガラス飛散防止効果
・防犯フィルムで防犯対策
・水垢/ウロコ防止対策
・鏡やガラスの曇り予防
詳細は関連記事をご参照ください。
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