一戸建て住宅の庭づくりで悩む問題の1つ。
それは、人工芝にする?それとも、天然芝にする?という問題。
住宅地で手入れが行き届いた天然芝を眺めると、青々としていて美しいの一言。本物の芝生は柔らかく、最高な手触りが魅力。
対する、人工芝の中でミドルから高級タイプともなると、少々離れて見れば、天然芝に肉薄するリアルさがあります。
それぞれ特徴があり、どちらが良い、悪いと優劣をつけることはできません。
両者の違いは大きくイニシャルコストとランニングコスト、メンテナンス、見た目の美しさ。
後々、後悔しないために、じっくりと選びたいもの。
では、人工芝と天然芝を比較して、それぞれの特徴とメリット、デメリットを解説します。合わせて、リビングの夏の暑さ対策と冬の寒さ対策、目隠し対策をご紹介します。
人工芝
今やサッカー場で主流の人工芝。それには、いくつかの理由があるからです。
人工芝の素材
人工芝の素材は3種類あります。
ポリプロピレン
ポリプロピレンは人工芝の素材の中で最も耐久性が高いのが特徴です。 ポリプロピレンの人工芝はサッカーやラグビー場などの施設向きです。
素材の柔らかさ | ★☆☆ |
耐久性 | ★★★ |
価格 | ★☆☆ |
ポリエチレン
ポリエチレンはポリプロピレンに次ぐ耐久性があります。ポリエチレンの人工芝は品質と価格のバランスが良く、一般家庭向きです。
素材の柔らかさ | ★★☆ |
耐久性 | ★★☆ |
価格 | ★★☆ |
ナイロン
ナイロン製パイルは手触りが良いものの、直射日光に弱く屋内向きです。
素材の柔らかさ | ★★★ |
耐久性 | ★☆☆ |
価格 | ★★★ |
パイルの長さ
人工芝の細長い葉を「パイル」と呼び、パイルの長さを「パイル長」と言います。
用途 | パイル長 |
ゴルフ練習用 | 15mm |
一般用 | 16~40mm |
パイル長が長いタイプほどクッション性が高く肌触りが良くなります。その反面、落ち葉などがパイルに絡みやすくなります。
パイルが長い人工芝のメンテナンスは竹ぼうきが便利です。
おすすめの人工芝
数多い人工芝の中でバランスの取れたブランドとして、リアリーターフ®が挙げられます。
タイプ | ショート | ミドル | アメリカーナ ロング | ヨーロピアン ロング |
パイル長 | 16mm | 25mm | 40mm | 40mm |
パイル形状 | C型 | C型 | C型 | C型 |
裏の基盤 | ウレタン | ウレタン | ウレタン | ウレタン |
耐久性 | 約10年 | 約10年 | 約10年 | 約10年 |
リアリーターフ®のパイル形状はC型のため、芝が寝にくい特徴があります。また、艶消しパイルのため、よりリアルな質感となります。
リアリーターフ®のラインアップは以下の全ての機能が与えられています。
遮熱、静電気抑制、抗菌、防炎、防カビ、消臭、水抜き多孔、艶消しパイル、端部カット済み、ウレタンバッキング、UV加工
ミドルクラスのリアリーターフ®は品質と耐久性、価格のバランスが良く、エクステリア業界では定番の人工芝です。
リアリーターフ®の施工方法
リアリーターフ®の価格
約5,000円/m2
※別途、防草シートが必要です。
エクステリア業者にリアリーターフ®の施工を依頼する場合、別途、施工費と人工代が必要です。
人工芝の耐久性
人工芝の耐久性は概ね、価格に比例します。
価格 (円/m2) | 耐久性 (年) |
10,000 | 約7~10 |
5,000 | 約5~6 |
2,000 ~ 3,000 | 数年 |
安価な人工芝は明らかに耐久性が劣ります。短期間で劣化が進んでしまう安価な人工芝はコスパの面で劣ります。
耐久性と価格の関係
人工芝のメーカーは数多く、多品種。当然ながら、安価な人工芝に耐久性を期待するのは無理があります。かと言って、高価格な人工芝ほど高耐久とは言えない現実があります。
人工芝のパイル素材はポリエチレンやポリプロピレン。これらの素材は紫外線や熱、水、湿度、加重の影響を受けて徐々に劣化が進みます。
高級で高価な人工芝であっても、劣化は進むと予め理解しておく必要があります。
人工芝の値段
人工芝の種類とグレードによって価格の幅があります。
【人工芝の価格】約5,000~10,000円/m2
+
【防草シート/不織布の価格】約2,000円/1×4.8m
+
業者に施工を依頼する場合、人工代+施工費
防草シートについて
庭に人工芝を敷く場合、整地してから防草シートの設置が必須。理由として、防草シートを省略すると、必ず人工芝の下から雑草が生えてくるからです。
おすすめの防草シート
防草シートは目の粗い織布から硬い不織布まで種類があります。おすすめの防草効果が高いシートは「硬い不織布」。
整地について
人工芝を敷く際、最初に整地が必須。整地とは、土を掘りながら雑草の根と石、砂利を除去し、土を戻して地面をスコップなどで叩き固める作業です。その後、砂を敷き詰めます。
この作業を省いてしまうと、人工芝が凸凹してしまいます。
人工芝のメリット,デメリット
メリット
・1年中、芝の色が鮮やか
・メンテナンス不要(水やり、芝刈り、肥料やり、除草不要)
・バルコニーや屋上など、設置場所を問わない
・雑草が生えない(防草シートを敷くため)
デメリット
・イニシャルコストが高い
・整地が必須
・質感が天然芝より劣る
・夏季は熱を持つ(人工芝の表面が60℃以上に達します。)
・経年劣化により、葉が寝てしまう
・7~10年毎の貼り替えが必要
天然芝
天然芝の種類
天然芝は大きく日本芝と西洋芝に分けることができます。
【日本芝】
高麗芝
日本で最もポピュラーな芝生は高麗芝(こうらいしば)。高麗芝は枯れにくく丈夫なこともあり、一般家庭から公園、ゴルフ場などで幅広く見ることができます。
高麗芝の葉は姫高麗芝より硬めで、成長スピードがゆっくりです。
姫高麗芝
姫高麗芝(ひめこうらいしば)は高麗芝を改良した芝生。姫高麗芝の葉は高麗芝より密度が高くて柔らく、成長スピードが早い特徴があります。
なお、姫高麗芝は病害虫に弱いため、土地の水はけに注意が必要です。
日本芝の特徴
・ホームセンターなどで入手が容易
・日本芝は西洋芝と比較してメンテナンスが楽
・寒さに弱い(日本芝は冬季、冬眠モードに入る)
【西洋芝】
ケンタッキーブルーグラス
ケンタッキーブルーグラスは寒地型の西洋芝。ケンタッキーブルーグラスは寒さに強く、北海道でも生育できます。
バミューダグラス
バミューダグラスは暖地型の西洋芝。バミューダグラスは暑さに強く、冬季は冬眠モードに入ります。
西洋芝の特徴
・種から育てる必要がある
・西洋芝は日本芝と比較してメンテナンスが大変
・寒さに強い(西洋芝は冬季でも枯れない)
天然芝の手入れ
天然芝は生きている植物である以上、手入れが必要です。
手入れの年間スケジュール
– | 水やり | 芝刈り | 除草 | 肥料やり |
1月 | – | – | – | – |
2月 | – | – | – | – |
3月 | – | – | – | 必要 |
4月 | ↑ | – | ↑ | – |
5月 | | | ↑ | | | 必要 |
6月 | – | | | | | – |
7月 | | | | | | | 必要 |
8月 | | | | | | | – |
9月 | | | ↓ | | | 必要 |
10月 | ↓ | – | ↓ | – |
11月 | – | – | – | 必要 |
12月 | – | – | – | – |
水やりの頻度
【春と秋】3~4日に1回
【夏】毎日
【冬】不要
※梅雨の時期は天候次第ながら、基本的に水やりは不要です。
芝刈りの頻度
【高麗芝の場合】月に2~3回
除草の頻度
芝生全体を眺めて、雑草が気になったらむしり取ります。
肥料やりの頻度
【高麗芝の場合】
固形肥料:目安として3月、5月、7月、9月、11月
液体肥料:目安として3~11月まで毎月
肥料やりの頻度と量は肥料の種類によって異なります。芝生用肥料のパッケージにプリントされている肥料やりの頻度と量を参考にします。
天然芝の値段
天然芝の価格は人工芝と比較して約1/10。
【天然芝の価格】500~1,000円/m2
+
業者に施工を依頼する場合、人工代+施工費
天然芝のメリット,デメリット
メリット
・天然芝ならではの美しさ
・天然芝ならではの手触りと高い質感
・雑草が生えにくい
・夏季、芝が熱を持ちにくい
・適切なメンテナンスで芝の成長が続く(寿命が無い)
・イニシャルコストが安い(人工芝の約1/10)
デメリット
・メンテナンスが必要(水やり、芝刈り(5~10月)、肥料やり、除草)
・日陰に芝を植えることができない
・冬季、日本芝は冬眠モードに入り、葉が茶色に変化
整地について
天然芝を敷く際も、最初に整地が必須。整地とは、土を掘りながら雑草の根と石、砂利を除去し、土を戻して地面をスコップなどで叩き固める作業です。
この作業を省いてしまうと、芝生が凸凹してしまいます。
天然芝のランニングコスト
天然芝はランニングコストが高いという考えがあるようですけど、それは、大きな間違いです。
天然芝の肥料は14Lで1,000円前後、手動式の芝刈り機は1.5~2万円で購入できます。
天然芝は生きている植物である以上、当然、水やりは必要であり、他の手入れも必要です。これは、他の樹木や観葉植物、花と同じです。
対する、人工芝は長くても10年前後で張り替える必要があります。30年、40年の長期スパンで考えると、人工芝の方がランニングコストが高くなります。
あなたは何派?
庭の芝に対して何を求めるかで、自分の好みやライフスタイルにマッチする芝が見えてくるのではないでしょうか。
イニシャルコストが気になる派
庭の芝に対して最初のイニシャルコストが気になる方は「天然芝」がおすすめです。天然芝ならば、人工芝のように約10年毎に貼り替えるコストも発生しません。
庭に手間をかけたくない派
庭にメンテナンスの手間をかけたくない方や忙しくて手間をかけられない方は「人工芝」がおすすめです。
1年中、青い芝生が好き派
1年を通して庭の青い芝生を好む方は「人工芝」がベストです。
自然を愛する派
やはり自然が一番、家の前に植物が広がる庭を求める方は「天然芝」がおすすめです。水と肥料をやり、芝刈りすることでより天然芝に愛着が湧きます。
夏、素足で芝生の上を歩きたい派
夏季、素足で芝生の上を歩きたいのであれば、「天然芝」の一択。夏季、人工芝の表面温度は60℃を超えるため、とても素足で歩くことはできません。
庭でBBQを楽しみたい派
庭でBBQを楽しむのであれば、「天然芝」がおすすめです。
ポリエチレンやポリプロピレン製の人工芝は熱に弱く、BBQの火の粉で簡単に溶けて黒化してしまいます。その点、天然芝は植物である以上、葉が火の粉で溶けることはありません。
しかし、火災のリスクもあるため、大事を取ってBBQコンロの下に耐熱シート敷く方が安心です。
草取りをしたくない派
毎年4月から庭の雑草が生え始めます。草が生えにくい天然芝であっても、所々、草が生えてきます。
その点、完璧な防草シートの上に人工芝を敷けば、雑草が生えてきません。手間のかかる草取りから解放されたい方は「人工芝」がおすすめです。
長期出張が多い派
仕事柄、長期出張が頻繁な方は当然、庭に水やりができません。家族の方が庭に水やりができるならば話は別ながら、それができないとなると庭の植物は枯れてしまいます。
このような方は「人工芝」がおすすめです。雑草が生えず、手間がかかりません。
今、迷っている派
もし、今あなたが人工芝と天然芝の選択で迷っているならば、まずはイニシャルコストが安い「天然芝」を選んでみたらいかがでしょうか?
天然芝の価格は人工芝の約1/10。コスト面の敷居がグッと下がります。
そして、天然芝の手入れをしながら1年後、2年後、3年後、「生きている芝生とは?」がわかってきます。その時になって、判断するのです。
Yes派
あなたが
「芝生の手入れに手間はかかるけど、まあ、容認できる範囲内。むしろ、芝生が青々と成長してきてうれしい!」
といった印象を受けているのであれば、そのまま天然芝の成長を見守りましょう。
No派
あなたが
「夏の水やり、芝刈り、草取り、肥料やりが面倒!やっぱり、メンテナンス不要の人工芝の方がいいかな。」
といった印象を受けているのであれば、天然芝から人工芝に切り替えるのです。あるいは、手間のかからないグランドカバーを選択肢に入れてもいいでしょう。
グランドカバーの詳細は関連記事をご参照ください。
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まとめ
以上のように人工芝と天然芝はそれぞれ特徴があり、メリットとデメリットがあります。
当ブログの管理人は人工芝と天然芝を比較して、優劣を付けることはできません。なぜなら、メリットの裏返しはデメリットですし、デメリットの裏返しはメリットだからです。
人工芝と天然芝の特徴をまとめてみます。
– | 人工芝 | 天然芝 |
質感 | ★☆☆ | ★★★ |
メンテナンス | ★★★ | ★☆☆ |
夏季の熱吸収(※1) | ★☆☆ | ★★★ |
冬季の景観 | ★★★ | ☆☆☆ |
耐久性(※2) | ★☆☆ | ★★★ |
イニシャルコスト | ★☆☆ | ★★★ |
ランニングコスト(※3) | ★☆☆ | ★★☆ |
(※1)夏季、人工芝は熱を持ちやすく、天然芝は熱を持ちにくいという意味です。
(※2)天然芝の手入れを行う前提の評価です。
(※3)高耐久タイプの人工芝でも約10年毎の貼り替えが必要なため、長期的なランニングコストが高くなります。
土が剥き出しの庭の場合、どうしても雑草に悩まされます。あなたの好みとライフスタイルにマッチする庭づくりをじっくり考えてみてはいかがでしょうか。
リビングの暑さ、寒さ、目隠し対策
リビングの窓越しに青々とした芝が広がっていると、得も言われぬ心地よさを感じます。
一般的にリビングは建物の南側に設置されることが多く、日当たり良好の物件は太陽光が窓ガラスからダイレクトにリビングに入ってきます。
太陽高度の低い冬季は日射熱が無料の暖房となり、リビングを暖めてくれます。しかし、夏季はじりじりと照り付ける日射熱がリビングの窓から流入してきます。
レースのカーテンを閉めても、生地が熱を持って放熱するため、室温を上昇させる方向に作用してしまいます。
建物の最大の弱点は「窓」。ペアガラスであっても、家の弱点は「窓」。
[窓]+ガラスフィルムで快適空間
対策として、窓ガラスにガラスフィルムを貼る方法が最も効果が高いと考えられています。
具体的には、建物の弱点である窓に「遮熱フィルム」を貼ると、夏の暑さが和らいでエアコン効率が向上します。
窓に「遮熱断熱フィルム」を貼ると、夏の暑さが和らぎ、窓の断熱性能が約30%アップして冬の寒さが和らぎます。
詳細は関連記事をご参照ください。
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