南向きのリビングにおいて、建物の立地条件や階数によっては次のように感じることはありませんか?
(1)夏季、日射熱で室内が暑い
(2)外から室内が丸見え
冬季、日射熱が南向きの窓から室内に流入し、部屋が暖かくなります。これは日射取得と言い、日射熱は無料の暖房です。
しかし、反対に夏季は日射熱で室内が暑くなります。特に、庇(ひさし)や軒(のき)が無い建物は日射熱により室内が暑くなりやすくなります。
南向きの窓は冬においてメリットがあるものの、反対に夏はデメリットになります。
そして、建物の南側が道路に面していると、隣家や歩行者、車両からの視線が気になる部屋が多々あります。このように、南向きの窓はメリットとデメリットの両側面を抱えています。
そこで、窓ガラスフィルムでデメリットを解決する方法を解説します。
南向きの窓ガラスに遮熱フィルムを施工
建物の設計や立地条件、階数によっては、夏の強い日射熱が南向きの窓ガラスを通して室温を上げてしまいます。対策として、窓ガラスに「遮熱フィルム」を施工する方法があります。
※ブログ等で「遮光フィルム」、「遮光シート」、「遮熱シート」、「遮熱フィルム」、「断熱シート」という言葉が入り混じっています。
日射熱を遮断、抑制するという意味では「遮熱フィルム」が適切な表現です。
「断熱シート」は窓ガラスの断熱性能を高めるという意味で「断熱フィルム」が適切な表現です。
ちなみに、「遮熱」と「断熱」の意味の違いについて、意外と知られていません。詳細は関連記事をご参照ください。
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施工可能な窓ガラス用、遮熱フィルムの一例として次が挙げられます。
3MTM NANOシリーズ
3MTMのNANOシリーズはラインアップの中で、遮熱性能に特化したガラスフィルム。
3MTMの白熱電球を用いたテストでは、「フィルム無し」と「NANO80S施工済み」ガラスを比較すると、最大の温度差は「7.3℃」。
・NANO80S
・NANO70S
・NANO40S
・NANO90S
サンゲツ GFシリーズ
サンゲツのGFシリーズは高透明遮熱フィルムからプライバシー保護の機能を持つ遮熱フィルムまでラインアップが充実しています。
・GF-206
・GF-101
・GF-102
・GF-106
・GF-108
・GF-110
・GF-111
・GF-112
・GF-113
・GF-114
GLAFIL RSP, NSシリーズ
GLAFIL/グラフィルの窓ガラスフィルムでRSPとNSシリーズの中には遮熱フィルムがあります。
・RSP15(シルバータイプ)
・RSP35(シルバータイプ)
・NS60(クリアタイプ)
・NS70(クリアタイプ)
遮熱フィルムはニーズが多く、様々な建物に施工されています。
冬季、マンションは角部屋と最上階を除き、中住戸の室温が下がりにくい傾向があります。
これは、RC造やSRC造のマンションは断熱性能が高いという訳ではありません。
冬季、各部屋がエアコン暖房を使用するため、その熱がマンションの躯体(構造体)に伝わります。コンクリートは熱を持つと、その状態を長時間、保つ性質があります。
マンションの中住戸は上下左右が部屋で囲まれているため、真冬でも室内は比較的、暖かいのです。
よって、
・マンションの部屋が南向き、あるいは西向き
・夏、窓ガラスからの日射熱で室内が暑い
・夏、西日が眩しい
以上の場合、遮熱フィルムで快適な室内環境を整えることができます。
遮熱フィルムは万能ではない
ここでご注意いただきたいのは、この世の全ての南向きの窓ガラスに遮熱フィルムを施工すればいいという訳ではありません。
例えば、一戸建て住宅はマンションとは異なり、建物の外壁と窓ガラスが全て外気にさらされています。一戸建て住宅はマンションより、冬季の寒さ対策が重要です。
そこで、一戸建て住宅の場合、南向きの窓ガラスに「遮熱断熱フィルム」を施工するのも選択肢の一つです。
一戸建て、南向きの窓ガラスに遮熱断熱フィルムを施工
太陽の日射熱は非常に強いエネルギーを持っています。
地上に届く太陽光線は次の3つ。
・紫外線
・可視光線
・赤外線(IR : Infrared)
これらの中で、熱線とも呼ばれる赤外線(IR)のエネルギーは非常に強く、対象物に熱を与えます。
例えば、冬季、建物の条件が次の場合、午前中の暖房器具の使用は2~3時間程度で済むことがあります。
・外気温:5~10℃
・快晴
・南向きのリビング
・日当たり良好物件
冷えている室内が暖房器具によって暖まり、壁や天井、床、調度品も熱を帯びてきます。そして、日射熱(遠赤外線)が南の窓ガラスから室内に流入し、更に室内は暖まります。
家は冬を旨とすべし
建築業界には、「家は冬を旨とすべし」という考え方があります。
本州の太平洋側の平野部と四国エリアでは、冬季のエアコン暖房や暖房器具を使用する期間は、夏季のエアコン冷房を使用する期間より長くなります。
例えば、関東から関西圏にかけての6地域の場合、
【冬季、暖房を使用する期間】
11月~3月 or 4月(5~6ヶ月間)
【夏季、除湿と冷房を使用する期間】
6月中旬~9月(約3.5ヶ月間)
つまり、断熱性能が高い家の方が冬季の暖房費を抑えることができます。
冬季、太陽光の日射熱(遠赤外線)は無料の暖房。この熱を有効利用することで、室内を快適に保つことができます。
そこで、一戸建ての南向きの窓ガラスに「遮熱断熱フィルム」を施工して、断熱効果を高める方法があります。
施工可能な窓ガラス用、遮熱断熱フィルムの一例として、こちら。
3MTM LOW-Eシリーズ
3MTMのLOW-Eシリーズは遮熱と断熱の両方の機能を持つ遮熱断熱フィルム。
・LOW-E70クリアー
・LOW-E20シルバー
住友理工 リフレシャインTWシリーズ
住友理工のリフレシャインも遮熱と断熱の両方の機能を持つ遮熱断熱フィルム。
・TW-32
・TW-36A
GLAFIL/グラフィル
GLAFIL/グラフィルのRSP35LEとNS70LEも遮熱と断熱の両方の機能を持つ遮熱断熱フィルム。
・RSP35LEシルバー
・NS70LEクリア
GLAFIL/グラフィルRSP35LEの熱貫流率(U値)は「4.3W/m2・K」。
※3mm厚のフロートガラスの熱貫流率は「6.0 W/m2・K」。
3mm厚のフロートガラスにRSP35LEフィルムを施工すると、
6.0×4.3×1/6=「4.3W/m2・K」。
U値が小さいほど、断熱性能が高いことを意味します。
【Before】6.0W/m2・K
【After】4.3W/m2・K
4.3W/m2・K×1/6.0W/m2・K≒0.71
数値上、断熱性能が約29%アップすることが分かります。
3mm厚のフロートガラスにグラフィルRSP35LEを施工すると、「ペアガラス+アルミサッシ」に相当する暖かさになります。
熱貫流率については以下の関連記事をご参照ください。
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遮熱フィルムと遮熱断熱フィルムの使い分け
以上のように、建築物の設計や立地条件、階数、窓ガラスの設置場所、日当たり条件等の諸条件により、マッチするガラスフィルムが異なります。
諸条件を考慮し、遮熱フィルムと遮熱断熱フィルムを使い分けることで、より快適な室内空間を整えることができます。
どちらのガラスフィルムが適切なのかは、建物と窓ガラスの設置環境などによってケースバイケースです。
そして、外からの視線が気になる場合、プライバシー保護のガラスフィルムなども合わせて検討することで選択肢に幅が出てきます。
ガラスフィルムは理論的な製品
各ガラスフィルムは機能性が与えられている理論的な製品です。
フィルムの種類毎に遮蔽係数、日射熱取得率、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、可視光線透過率、可視光線反射率、紫外線透過率、熱貫流率(U値)がメーカーカタログに表示されています。
単に、窓にガラスフィルムを貼ればいいというものではありません。建物の設計や立地条件、階数、窓ガラスの設置環境、日当たり条件を確認し、お客様とのヒヤリングが大切です。
その後、インプット情報から最適なフィルムの選択、ご提案の流れになります。
当店は現地調査の上、お客様の悩みと現場環境を総合的に分析して、「より快適で安全、住み心地がいい生活空間を実現」できるガラスフィルムをご提案しています。
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