日本の住宅地において、サンルームが設置されている家を見かけることが少なくありません。更に、豪華仕様のガーデンルームを見かけることもあります。
サンルームはガラス張り構造のため、洗濯物干しや観葉植物を育てるのに便利な空間。
サンルームがあれば、洗濯物が砂埃や花粉、PM2.5、排気ガス成分などの影響を受けにくくなります。その他、子供やペットの遊び場、ティールームなど、サンルームの使用目的は様々。
しかし、サンルームはガラス張りとアルミ骨格の構造上、断熱性能がほとんどありません。よって、サンルームは夏は暑く、冬は寒い空間と化します。
特に夏季、洗濯物干し以外で、あまりサンルームを使わない方が多いのではないでしょうか?せっかく家にサンルームを増築した以上、それではもったいないですよね?
そこで、今以上に積極的にサンルームを活用できる方法があれば、サンルームの価値がアップします。今よりサンルームを快適な空間にして、サンルームに惚れ直してしまう対策を解説します。
では、その前にサンルームに似た意味を持つ言葉として、コンサバトリーやアトリウムがあります。ガラスで囲まれた空間はいくつかの呼び方があり、混乱してしまいそうです。
そこで、本題に入る前にサンルームの呼称について情報を整理しておきます。
サンルームの呼称
ガラス板で囲まれた空間の呼称として、サンルーム、ガーデンルーム、コンサバトリー、アトリウムなどがあります。
サンルーム
家のリビングなどの延長線上にガラス張りの建物が設置されている場合、概ね、サンルーム(Sun room)と呼ばれています。
ガーデンルーム
ガーデンルーム(Garden room)はサンルームよりプレミアムなガラス空間のイメージがあり、各メーカーからより高級志向の製品が販売されています。
コンサバトリー
18世紀以降、コンサバトリー(Conservatory)はイギリスで伝統的に親しまれてきた住宅スタイル。
イギリスは雨や曇りの日が多い国。現地の人々は、より明るく開放的な空間を求めて、コンサバトリーの文化が根付いているのかもしれません。
コンサバトリーはサンルームよりガラスで囲まれた空間が広く、家のリビングと外を繋ぐ中間的なポジションの空間であり、1つの部屋。
コンサバトリーは食事や趣味、そして、来客時のティールームとしても使われる空間。コンサバトリーという言葉の響きからも、洗濯物干しの空間とは言い難い空間かもしれません。
アトリウム
アトリウム(Atrium)とは、屋根から壁にかけてガラスやアクリル板で囲まれた巨大空間を意味します。
アトリウムは商業施設や駅ビル、ビル、ホテルのエントランスなどに見られます。アトリウムはガラス張りで明るく、開放的な吹き抜け空間を意味します。
海外製サンルームの一部はアトリウムと呼ばれているものの、アトリウムは本来、巨大なガラス張り空間を意味します。
日本では、ガラスで囲まれた空間をサンルームやガーデンルームと呼ぶのが一般的。
では次に、サンルームとガーデンルームのメーカーと価格帯について情報を整理しておきます。
サンルーム、ガーデンルームのメーカー
サンルームやガーデンルームのメーカーは主に以下の4つ。代表的な製品も付け加えておきます。
・リクシル/LIXIL(サニーズ、ガーデンルームGF、ジーマ、暖蘭物語)
・YKK AP(ソラリア囲い)
・三協アルミ(晴れもようWith、ハピーナリラ、M.フレージ)
・カインズオリジナル
以上のメーカーが日本市場のほとんどを占めています。
その他、海外製のプレミアムなサンルームやガーデンルームが商社によって輸入販売されています。積雪に強く、屋根は10mm厚の合わせガラスが採用されているモデルもあります。
サンルームとガーデンルームには明確な定義は無いようです。ただ、使用目的に違いがあります。
サンルーム
サンルームはよく見かけるタイプ。洗濯物干しや観葉植物の生育にピッタリな室内空間です。
ガーデンルーム
ガーデンルームはより庭との一体感があり、庭へ出入りするための開口部が大きめに設計されています。ガーデンルームは一つの部屋として、ティータイムを楽しんだり趣味のスペースとして使われます。
ガーデンルームはサンルームより設計が高級な傾向があります。
サンルーム、ガーデンルームの価格帯
リクシル/LIXIL、YKK AP、三協アルミのサンルーム、ガーデンルームを大きくコストパフォーマンスが高いモデル、機能性が高いモデル、プレミアムモデルに分けてみます。
コストパフォーマンスが高いモデル
リクシル/LIXIL製サニーズ、YKK AP製ソラリア囲い、三協アルミ製晴れもようWith
【価格】30万円台
※テラスタイプは20万円台。
機能性が高いモデル
リクシル/LIXIL製ガーデンルームGF、YKK AP製ソラリア囲い、三協アルミ製ハピーナリラ
【価格】50~70万円台
プレミアムモデル
リクシル/LIXIL製ジーマ、三協アルミ製M.フレージ
【価格】100万円以上
リクシル/LIXIL製、暖蘭物語
【価格】200万円以上
海外製サンルーム、ガーデンルーム
【価格】200~400万円
サンルームならではの特徴とメリットがあり、ガラス張りである以上、デメリットもあります。
では、サンルームのメリットとデメリット、夏の暑さと冬の寒さ対策、プライバシー保護と結露対策、防犯対策、台風対策についてご紹介します。
サンルームのメリット&デメリット
メリット
・家の増改築に比べて、設置が容易。
・屋外にいるような開放感があり、自然光を楽しむことができる。
・洗濯物干しに最適。
・観葉植物の生育空間として最適。
・子供やペットの遊び場に最適。
・リビングにサンルームを繋げて設置することが多く、冬季はリビングが暖かい。
・骨格がアルミ製で耐久性が高い。
デメリット
・夏は暑い空間。(洗濯物干し以外で使いにくい空間と化す。)
・冬は寒い空間。
・冬はガラスが結露しやすい。
・プライバシー確保の問題。
・定期的な窓ガラスの手入れが必要。
・家の保証対象外となる場合がある。
サンルームの暑さ対策、寒さ対策、目隠し対策
サンルームやガーデンルームはガラス張りでアルミ骨格の構造上、断熱性能がほとんどありません。
よって、ガラス張り空間は夏は暑く、冬は寒いのが問題点。また、家の立地環境によっては、プライバシーの確保が気になります。
夏の暑さ対策
夏季、サンルームの暑さ対策として、室内にレースカーテンを設置するのが一般的。レースカーテンの設置は手頃な反面、やはり万能とは言い難いものがあります。
その他、遮熱レースカーテン、断熱カーテンなどがあります。これらの中で日中、使えるカーテンは遮熱レースカーテンのみ。防寒と断熱カーテンは夜に使うタイプ。
そして、遮熱レースカーテンを設置しても、カーテンそのものが日射熱で熱を帯びて放熱するため、サンルームの室温を上げる方向に作用してしまいます。
冬の寒さ対策
冬季、サンルームの寒さ対策として、レースカーテン+厚手の防寒カーテンや断熱カーテンを設置する方法があります。しかし、日中は厚手のカーテンを閉めておくわけにはいきません。
サンルームはガラス張りである以上、断熱対策にも限界があります。
目隠し対策
サンルーム内のプライバシー保護対策として、レースカーテンの使用が一般的です。ただ、レースカーテンによる眺望の悪化や閉塞感が気になる人もいます。
いずれにしても、各種カーテンの設置は手頃な反面、一長一短があり、あちらを立てればこちらが立たず的な要素があります。
そこで、より理論的で明らかな効果が得られる方法として、サンルームのガラスに「窓ガラスフィルム」を施工する方法があります。
窓ガラスフィルムで快適空間
サンルームのガラス内側(室内側)にガラスフィルムを施工することで、サンルーム空間の悩みを改善できます。
具体的には、サンルームのガラスに「遮熱フィルム」や「遮熱断熱フィルム」「目隠しフィルム」を貼り付けます。
サンルームの暑さ対策
遮熱フィルムが日射熱をカット
日本の夏季において、最高気温が30℃以上の真夏日が風物詩となり、デフォルト化しています。各地で35℃以上の猛暑日が連続することもあり、サンルームの室温が40℃を超える日があるのではないでしょうか?
確かに、洗濯物はサンルームの中で直ぐに乾くものの、とても人はいられません。
そこで、夏の暑さ対策として、サンルームのガラス内側に「遮熱フィルム」を施工します。
この遮熱フィルムが日射熱を「約30~77%」カットします。ガラスフィルムの施工により、明らかに日射熱を軽減できます。
メリット
・夏の暑さを軽減(日射熱を約30~77%カット)
・眩しさを軽減
・99%以上、紫外線カット
・台風上陸時の飛来物によるガラス飛散防止
サンルームの暑さ対策&寒さ対策
遮熱断熱フィルムが日射熱カット&冬の断熱性能アップ
サンルームの夏の暑さ対策、冬の寒さ対策として、サンルームのガラス内側に「遮熱断熱フィルム」を施工します。
遮熱断熱フィルムは夏の眩しく暑い日射熱をカットし、尚且つ、冬の断熱性能がアップして防寒対策に繋がります。
遮熱断熱フィルムの中には、熱貫流率(U値)が「4.3W/m2・K」というスペックを持つフィルムがあります。この数値が小さいほど、断熱性能が高いという意味です。
3mm厚フロートガラス(普通のガラス)のU値は「6.0W/m2・K」。
3mm厚のフロートガラスにU値4.3の遮熱断熱フィルムを施工すると、
6.0×4.3×1/6=4.3W/m2・K
サンルームのガラス内側に遮熱断熱フィルムを施工後、断熱性能が約「30%」アップして、「ペアガラス+アルミサッシ相当」の断熱性能を確保できます。
サンルーム内からの眺望をきちんと確保しつつ、ガラス空間の断熱方法を上げる方法として、「遮熱断熱フィルム」が最も効果的であると考えられています。
メリット
・夏の暑さを軽減
・眩しさを軽減
・冬の寒さを軽減
・99%以上、紫外線カット
・台風上陸時の飛来物によるガラス飛散防止
サンルームの目隠し対策/目隠しフィルム
プライバシー保護と遮熱効果
家の立地条件によっては、サンルーム内のプライバシーが気になります。
この場合、遮熱機能を持つプライバシーフィルムや目隠しフィルム施工します。目隠し効果により、外からの視線をブロック、あるいはサンルーム内が見えにくくなります。
プライバシーフィルムの種類は目的に応じて様々。フィルムの色味により、可視光線透過率が異なります。
低い←【可視光線透過率(%)】→高い
高い←【プライバシー保護効果】→低い
・可視光線透過率が高いフィルムは色が「薄い」。
・可視光線透過率が低いフィルムは色が「濃い」。
ガラスフィルムの色味は様々ながら、極度に色味が濃いフィルムを除いて、次のメリットがあります。
プライバシーフィルムの大きな特徴
プライバシーフィルムの大きな特徴は、室内からの眺望をきちんと確保できます。
・外からの視線をブロックし、室内から外がはっきり見える。
あるいは、フィルムの種類によって、
・外から室内が見えにくく、室内から外がはっきり見える。
以上を実現できる方法はプライバシーフィルムのみ。
なお、夜間、リビングの照明により、外からサンルームやガーデンルーム内が見えるようになります。今までどおり、カーテンを閉めることで夜間のプライバシーを保護できます。
メリット
プライバシーフィルムで次のメリットがあります。
・プライバシー保護
・室内から外がはっきり見える
・99%以上、紫外線カット
・遮熱効果
・台風上陸時の飛来物によるガラス飛散防止
サンルームの結露対策
遮熱断熱フィルムが結露を抑制
サンルームの結露対策として、サンルームのガラス内側に「遮熱断熱フィルム」を施工します。
遮熱断熱フィルムの中には、熱貫流率(U値)が「4.3W/m2・K」というスペックを持つフィルムがあります。この数値が小さいほど、断熱性能が高いという意味です。
3mm厚フロートガラス(普通のガラス)のU値は「6.0W/m2・K」。
3mm厚のフロートガラスにU値4.3の遮熱断熱フィルムを施工すると、
6.0×4.3×1/6=4.3W/m2・K
サンルームのガラス内側に遮熱断熱フィルムを施工後、断熱性能が約「30%」アップして、「ペアガラス+アルミサッシ相当」の断熱性能を確保できます。
よって、窓ガラスの断熱性能が向上し、ガラスの結露を抑制できます。
サンルームの防犯対策
Type1
サンルームの防犯対策として、サンルームのガラス内側(室内側)に「防犯フィルム」を施工します。防犯フィルムの施工後、ガラスに「セキュリティ・ステッカー(※)」を貼ることで、ガラス破りの抑止力に繋がります。
※セキュリティ・ステッカーはオプション。
Type2
一般的にサンルームはリビング窓に設置されていることが多く、サンルーム内に貴重品や大切な調度品などを置いていない住宅が多いと思われます。
この場合、コスパの高い家の防犯対策として、リビングの窓に「防犯フィルム」を施工します。これにより、フィルムの施工費を抑えることができます。
そして、サンルームのガラスに「遮熱フィルム」や「遮熱断熱フィルム」、「目隠しフィルム」を施工すれば、サンルーム内の空間がより快適になります。
サンルームの台風対策
プロのガラスフィルム施工業者が使用するフィルムは全てガラス飛散防止効果があります。
サンルームのガラスに遮熱フィルムや遮熱断熱フィルム、目隠しフィルムなどを施工すれば、自動的にガラス飛散防止機能が付いてきます。
大型台風の上陸時、飛来物がサンルームのガラスを直撃しても、ガラスフィルムがガラスをしっかり保持します。よって、ガラス飛散を防止することができ、二次被害の危険性も防止できます。
まとめ
ガラスで囲まれたサンルームやガーデンルーム内は構造上、どうしても夏は暑く、冬は寒くなります。
今以上にサンルームを積極的に活用するためには、ガラス空間の夏の暑さ対策、冬の寒さ対策、プライバシー保護対策、結露対策、防犯対策、台風対策として、各種ガラスフィルムの施工が効果的です。
遮熱フィルムと遮熱断熱フィルムはそれぞれ、品番毎に「遮蔽係数」と「熱貫流率」が与えられています。そして、フィルムの色味も種類によって異なります。
ガラスフィルムがサンルームやガーデンルーム内の悩みや諸問題を改善し、今以上に1年を通して、サンルームやガーデンルームの用途が広がります。
遮熱フィルムと遮熱断熱フィルムの詳細は関連記事をご参照ください。
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