一戸建て住宅、マンション、店舗、ビルなどの建築物の断熱性能を下げてしまう大きな原因は「窓」。
今も昔も、建物の最大の弱点は「窓」。
そこで、窓に遮熱断熱フィルムを施工すると、窓の断熱性能を高めることができます。
具体的に遮熱断熱フィルムでどの程度、窓の断熱性能が良くなるのか数字で表すことでより理解しやすくなります。
では、単板フロートガラス、ペアガラス、トリプルガラス、Low-Eガラスに遮熱断熱フィルムを施工後、どの程度、窓の断熱性能が良くなるのか例を挙げながら熱貫流率(U値)を計算してみます。
熱貫流率(U値)
熱貫流率とは、外と室内の温度差が1℃の時、「1時間」あたり「1m2」の面積を通過する熱量をW(ワット)で表した数値。
窓ガラスの熱貫流率が低いほど、断熱効果が高くなります。
熱貫流率の単位
熱貫流率の単位は「W/m2・K」。読み方はワット毎平方メートル毎ケルビン。熱貫流率を「U値」と言います。
一般的な窓ガラスに使われている「3mm厚の透明フロートガラス」の熱貫流率は「6.0W/m2・K 」。
単板フロートガラス+遮熱断熱フィルム
単板ガラスはフロートガラスとも呼ばれます。
サッシメーカーはYKK AP、LIXIL/リクシル、三協立山、エクセルシャノンで市場の95%以上を占めています。
3mm厚の透明フロートガラスに熱貫流率(U値、単位はW/m2・K)が「4.3」と「4.6」の遮熱断熱フィルムを施工するとします。
・3mm厚、透明フロートガラスの熱貫流率:「6.0」
・遮熱断熱フィルムの熱貫流率:「4.3」と「4.6」
熱貫流率が4.3の遮熱断熱フィルムの場合
6.0W/m2・K×4.3W/m2・K×1/6=4.3W/m2・K
Before
3mmフロートガラスの熱貫流率「6.0」
After
フロートガラス+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「4.3」
▼
窓の断熱性能が約30%UP
熱貫流率が4.6の遮熱断熱フィルムの場合
6.0W/m2・K×4.6W/m2・K×1/6=4.6W/m2・K
Before
3mmフロートガラスの熱貫流率「6.0」
After
フロートガラス+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「4.6」
▼
窓の断熱性能が約24%UP
ペアガラス+遮熱断熱フィルム
ペアガラス(複層ガラス)はサッシに2枚のガラスが組み込まれています。
各サッシメーカーの中で、一例としてYKK APのAPW330(ペアガラス)に熱貫流率(U値、単位はW/m2・K)が「4.3」と「4.6」の遮熱断熱フィルムを施工するとします。
・YKK AP APW330(樹脂スペーサー仕様)の熱貫流率:「1.31」
・遮熱断熱フィルムの熱貫流率:「4.3」と「4.6」
熱貫流率が4.3の遮熱断熱フィルムの場合
1.31W/m2・K×4.3W/m2・K×1/6=0.93W/m2・K
Before
YKK AP APW330の熱貫流率「1.31」
After
YKK AP APW330+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「0.93」
▼
窓の断熱性能が約30%UP
熱貫流率が4.6の遮熱断熱フィルムの場合
1.31W/m2・K×4.6W/m2・K×1/6=1.00W/m2・K
Before
YKK AP APW330の熱貫流率「1.31」
After
YKK AP APW330+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「1.00」
▼
窓の断熱性能が約24%UP
トリプルガラス+遮熱断熱フィルム
トリプルガラス(複層ガラス)はサッシに3枚のガラスが組み込まれています。
一例として、YKK AP APW330(トリプルガラス樹脂スペーサー仕様)に熱貫流率(U値、単位はW/m2・K)が「4.3」と「4.6」の遮熱断熱フィルムを施工するとします。
・YKK AP APW330(トリプルガラス樹脂スペーサー仕様)の熱貫流率:「0.99」
・遮熱断熱フィルムの熱貫流率:「4.3」と「4.6」
熱貫流率4.3の遮熱断熱フィルムの場合
0.99W/m2・K×4.3W/m2・K×1/6=0.70W/m2・K
Before
YKK AP APW330(トリプルガラス樹脂スペーサー仕様)の熱貫流率「0.99」
After
YKK AP APW330(トリプルガラス樹脂スペーサー仕様)+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「0.7」
▼
窓の断熱性能が約30%UP
熱貫流率4.6の遮熱断熱フィルムの場合
0.99W/m2・K×4.6W/m2・K×1/6=0.75W/m2・K
Before
YKK AP APW330(トリプルガラス樹脂スペーサー仕様)の熱貫流率「0.99」
After
YKK AP APW330(トリプルガラス樹脂スペーサー仕様)+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「0.75」
▼
窓の断熱性能が約24%UP
Low-Eガラス+遮熱断熱フィルム
Low-Eガラスは「遮熱タイプ」と「断熱タイプ」の2種類。
遮熱タイプは第2面に銀や酸化亜鉛などの金属膜が薄くコーティングされています。対する、断熱タイプは第3面に銀や酸化亜鉛などの金属膜が薄くコーティングされています。
ここでは、断熱タイプのLow-Eガラスを挙げて計算してみます。
YKK AP Low-E 断熱タイプニュートラル(3mmフロートガラス、中間層16mm)に熱貫流率(U値、単位はW/m2・K)が「4.3」と「4.6」の遮熱断熱フィルムを施工するとします。
・YKK AP Low-E 断熱タイプニュートラル(3mmフロートガラス、中間層16mm)の熱貫流率:「1.2」。
・遮熱断熱フィルムの熱貫流率:「4.3」と「4.6」
熱貫流率4.3の遮熱断熱フィルムの場合
1.2W/m2・K×4.3W/m2・K×1/6=0.86W/m2・K
Before
YKK AP Low-E 断熱タイプの熱貫流率「1.2」
After
YKK AP Low-E 断熱タイプ+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「0.86」
▼
窓ガラスの断熱性能が約29%UP
熱貫流率4.6の遮熱断熱フィルムの場合
1.2W/m2・K×4.6W/m2・K×1/6=0.92W/m2・K
Before
YKK AP Low-E 断熱タイプの熱貫流率「1.2」
After
YKK AP Low-E 断熱タイプ+遮熱断熱フィルム=熱貫流率「0.92」
▼
窓の断熱性能が約24%UP
まとめ
・窓ガラスに「遮熱断熱フィルム」を施工後、窓の断熱性能が約24%~最大約30%UP。
2000年以前に建てられた一戸建て住宅やマンションの窓の多くは「単板ガラス+アルミサッシ」が設置されています。
そして、ロの字型やコの字型の中庭のある家は構造上、中庭の窓から熱が逃げやすくなります。建物の熱が逃げてしまう最大の弱点は「窓」。
家のUA値を下げるには、遮熱断熱フィルムの施工で確実に断熱性能を上げることができます。結果的にエアコン効率が高まり、夏と冬の節電に繋がります。
詳細は関連記事をご参照ください。
※算出した数値は理論値です。実際、遮熱断熱フィルムの施工後、プラスマイナスの誤差が生じることがありますので予めご了承ください。また、窓ガラスの種類や設置環境と遮熱断熱フィルムとの相性問題があります。詳細はお問い合わせください。
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