一戸建て住宅やマンション、商業ビルなどの窓の中で、上の写真▲のような黒くて細いワイヤーが入っている窓ガラスを見かけたことがありませんか?
このワイヤー入りのガラスは「網入りガラス」と呼ばれます。
私たちはよく網入りガラスを見かけることがあるものの、なぜ、そのようなガラスが建物に設置されているのか解説します。
網入りガラスとは?
網入りガラスは「窓ガラスを強化して防犯性能を高めるために、ガラスにワイヤーが入っているのでは?」と勘違いされている方が多いかもしれません。
実は、網入りガラスは防犯ガラスではありません。
網入りガラスは「火災発生時のガラスのはじけ割れ防止」の目的で設置されています。網入りガラスは火災時の延焼を遅らせる効果があります。
一般のフロートガラスの場合、火災の熱で割れて崩れ落ちてしまうと火が燃え広がり、隣家が延焼する危険性があります。
網入りガラスの特徴
網入りガラスはガラスの中にスチールワイヤーが入っている構造上、強度が高いと思われるかもしれません。
しかし、実際は反対。驚くことに、網入りガラスの強度はフロートガラスの1/6程度しかありません。
ガラス関連業界や建築業界の方を除き、この事実を知っている方はほとんどいないと思います。網入りガラスの強度は低く、防犯性が低いのです。
そこで、網入りガラスの設置場所によっては、防犯性能を高めた構造のサッシとセットで設置されています。
網入りガラスの用途
建築基準法により、防火地域や準防火地域では網入りガラスを設置する必要があります。
網入りガラスの厚さ
網入りガラスの厚みは、6.8mmと10mm。
一般住宅では、6.8mmの網入りガラスが多く使われています。
網入りガラスの種類
網入りガラスの代表的なものは3種類。
磨菱形ワイヤー(ヒシ型ワイヤー)
網入りガラス内のワイヤーが菱形の形状をしています。
角形霞ワイヤー(クロスワイヤー)
網入りガラス内のワイヤーが角形の形状をしています。
パラライン(縦ワイヤー)
ガラスに上下方向にワイヤーが入っている網入りガラスがあります。
網入りガラスにガラスフィルムの施工は可能?
網入りガラスの設置環境とガラスフィルムの種類によっては、フィルムの施工が可能です。
網入りガラスの設置環境とは、ガラスが面している方角や太陽光の当たり具合、影の当たり具合などを意味します。窓ガラスの設置環境は1枚1枚、異なります。
プロが網入りガラスにガラスフィルムを施工する際、必ず現地調査をして熱割れ計算を行います。熱割れのリスク判定を経て、Goサインが出たら施工可能です。
網入りガラスにガラスフィルムを貼り付ける場合、専門的な知識と判断が必要です。
一般の方がホームセンターなどで安価なガラスフィルム/シートを購入し、網入りガラスに貼り付けると、窓ガラスが熱割れするリスクがあります。
窓ガラスの種類と設置環境は様々です。一般の方が安易な気持ちで窓にフィルム貼ると、熱割れのリスクが高いため注意が必要です。
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